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夜の棚田ラウンジのお楽しみは「かき氷」

 昼間とはうって変わり、夜の「星のや軽井沢」は幻想的な雰囲気に包まれます。この特別な空間に、夏季限定でオープンするのが「棚田Barラウンジ」(8月31日まで)。信州の豊かな自然が育んだ素材を使った、ここでしか味わえない「かき氷」をお酒とともに楽しむことができます。

 特にユニークなのは、「森の香りを食べる」をコンセプトにした「軽井沢香木かき氷」。モミ、アカマツ、カラマツ、アブラチャン、ヒノキなど軽井沢の自然が育んだ五種の木々を蒸留しブレンドした「香木シロップ」や、カツラの落ち葉で香り付けした焼酎「落ち葉酒」、香り高い黒文字のシロップなど、軽井沢ならではの素材をふんだんに使用しています。

 口に含むと、軽井沢の森の香りが広がり、まるで森の中で深呼吸をしているかのような感覚を味わえます。かき氷が大好きな松本さんも「さっぱりとした味わいで、スルスル食べられちゃった」とご満悦。

 「信州吟醸かき氷」は、発酵文化の盛んな信州ならではの、酒粕を使用した芳醇で濃厚なかき氷です。宮坂醸造(長野県)の「真澄 純米大吟醸 山花」の酒粕は、市場には出回らない、「星のや軽井沢」限定で特別に仕入れたもの。

 香り高い酒粕と甘酒を合わせた吟醸アイスや、蕎麦の実を発酵させた蕎麦糀を閉じ込めた氷に、酒粕やヨーグルト、マスカルポーネのクリームをかけて提供されます。信州の発酵文化の恵みが織りなす、奥深い味わいが特徴です。

源泉かけ流しの温泉で瞑想体験

 星野温泉の開湯は1915(大正4)年。強酸性の草津温泉の仕上げ湯として知られた存在だったとか。その泉質と湯量に秀でた星野温泉の歴史を引き継ぐ、源泉かけ流しの温泉のひとつが「メディテイションバス」です。

 それは、柔らかな光に抱かれる「光の部屋」と暗闇に包まれる「闇の部屋」を持つ異次元のような空間。光と闇の行き来が瞑想を誘い、心の気づきをもたらします。これほど攻めたデザインの温泉施設をつくることができたのは、徒歩圏内にもうひとつの源泉かけ流し温泉「星野温泉 トンボの湯」が用意されているからでしょう。

 静かに自分と向き合う「メディテイションバス」と、開放感のある大窓の内湯、花崗岩を大胆に組んだ露天風呂に軽井沢の自然が溶け込む「星野温泉 トンボの湯」。その両方から気分に合わせて選べるのは、宿泊者の特権です。

 「メディテイションバスは最初、暗くてちょっと怖い気もしたけれど、想像以上にリラックスできた。面白い仕掛けだよね」と、にっこりする松本さん。この順応性の高さが人生を楽しむ秘訣なのかもしれません。

意識までほどけていく深いリトリート体験

 入浴後のお楽しみは、スパ。「調身、調息、調心」の考えのもと、心身の充実を図るプログラムが用意されています。国家資格者によるボディケア(マッサージ)の施術は、スパ棟でも、客室でも可能。

「じつはちょっと風邪気味で咳も出ていたのだけれど、そんなことも忘れてしまうほど深くリラックスできた。強すぎず弱すぎずのマッサージが絶妙でね。ぐっすり眠れたおかげで、朝も気持ちよく目が覚めたよ」

2025.08.04(月)
文=伊藤由起
写真=平松市聖
写真協力=星のや
協力=星野リゾート