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スマホに届いた同窓会の知らせ

それから数週間が経ったある日。
Uさんはあの悪夢のことなど忘れてしまうほどの激務を終えて、電車の中でスマホを見ていました。すると、SNSにメッセージが届いていることに気がついたのだそうです。
開いてみると、普段はほとんど繋がっていない小学校時代のクラスメイトの女性からで、その内容は小学校時代の同級生たちで同窓会を企画したので来ないか、というものでした。
「懐かしいなぁ。あいつらとすっかり連絡取らなくなっちゃったもんなぁ」
楽しかった思い出を振り返っていると、いつの間にか心が華やいできて「出席するよ~」と返信していたそうです。
数日後、Uさんは開催場所である母校に向かっていました。
東京に出てがむしゃらに働いていたおかげで忘れていたあの時のゆったりとした空気感が、変わりゆく車窓の景色とともにふつふつと蘇ってくる感覚がしたそうです。
開催場所は母校の体育館。母校で先生になった奴が主催だったことで実現したノスタルジアを刺激する粋な計らいに頬を緩めつつ、Uさんは午前中に地元に降り立ちました。
2025.08.12(火)
文=むくろ幽介