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“2次会”は館内の日本酒BARで島根の美酒を

 「日本酒発祥の地」といわれる島根には、出雲大社の神事にも深く関わる酒造り文化が受け継がれています。いまも地域に密着した酒蔵がそれぞれ個性的な酒を醸していますが、多くが少量生産でとくに東日本ではなかなかお目にかかれません。

 そんな島根の日本酒を気軽に、バラエティ豊かに味わえるのが館内の一角にある「日本酒BAR」。県内30蔵42種を揃えた日本酒は、ダイニングでいただく食中酒とはまた趣の異なる、酒そのものを楽しめるタイプを充実させているとか。

 メニューは、好みの日本酒3種とおつまみ1種のセット(1,000円)がメイン。スタッフおすすめのセットもあり、甘・辛・どっしりといった飲み口別セットや、出雲や津和野といった産地別セット、原酒セット、五百万石(酒米)セットなどユニークな組み合わせがたくさん。より多くのお酒を試したい場合は、追加で単品のオーダーも可能です。

 アルコールが苦手な方には、酒蔵特製の甘酒とおつまみのセット(500円)もあり、日本酒好きはもちろん、飲み慣れない方や飲めない方も一緒に、日本酒の奥深さに触れる体験が叶います。※予約制(4人まで)、各30分

ヤマタノオロチ伝説を題材にした神楽を鑑賞

 全国の「界」では、その地域ならではの伝統工芸、芸能、食などを満喫できるおもてなし「ご当地楽」を用意しています。ここ「界 玉造」では、ヤマタノオロチ伝説を題材にした演目「大蛇(オロチ)」を、石見神楽の指導者に習ったスタッフが夜ごと披露しています。

 石見神楽は、島根県西部の石見地方に伝わる伝統芸能。いまも神社の祭礼で奉納され地域の人々に親しまれていますが、テンポがよくエンタメ性が高いことから観光向けの公演も盛んなのだとか。

 なかでも人気の演目「大蛇(オロチ)」は、素戔嗚尊(スサノオノミコト)が大蛇を日本酒で酔わせ(これが「ヤシオリの酒」)、生贄にされるところだった櫛名田比売(クシナダヒメ)を助けるという、日本酒発祥の地・出雲にちなんだお話です。

 鮮やかな衣装をまとったスタッフが、軽快なお囃子に合わせて舞う様子は、なんともダイナミック。とくに、巨体を激しく波打たせ暴れ回る大蛇と、スサノオノミコトの対決シーンは息を呑むほどで、間近で見るとものすごい迫力です。

 演舞が終わり、被りものを取って挨拶するスタッフの方を見てまたビックリ。いかにも重そうな衣装を身に着け、大蛇の頭と太長い蛇体をぶん回し、勇壮な演舞を披露していたのが全員女性だったとは!(日によるそうですが)。会場がより大きな拍手に包まれたのは言うまでもありません。

2025.02.19(水)
文・写真=伊藤由起
写真協力=界