この記事の連載

 東シナ海へ飛び立つ鳳凰のような形をした読谷村。その希少な自然海岸と一体化するように『星のや沖縄』があります。後篇では、海辺に暮らすような非日常の滞在が叶う、客室やパブリックエリアを中心にご案内します。


グスクウォールの向こうにある非日常の世界へ

 冬らしからぬ明るい日差しの中、海風に揺れるサトウキビ畑を抜けてたどり着いた「星のや沖縄」。そこは、首里城や今帰仁城といった沖縄の史跡「グスク」の概念を抽出し、城壁のような「グスクウォール」のなかに安息の地が広がる「グスクの居館」です。

 レセプション棟は、海底のような深い青に包まれた異空間。明るい屋外との落差に驚きますが、これが非日常へのスイッチとなります。光源を最小限に絞った青の世界に、サンゴのような天然木を配した空間は、まるで現代美術のインスタレーション。滞在への期待が高まります。

 レセプションで簡単に受付を済ませたあとは、カートで客室に近いポータル(停留所のようなもの)へ。「星のや沖縄」の施設は海岸線に沿った全長約1kmの敷地に建っており、それを囲むグスクウォールの6カ所に設置されたポータル間を、カートで行き来できるようになっています。

 グスクウォールの中には、よく手入れされた庭があり、ここがゲストの暮らす安息の地であることを物語ります。希望すれば、植物の解説などを聞きながら庭をめぐるアクティビティもありますが、まずは客室へ向かいましょう。

2025.02.15(土)
文=伊藤由起
写真=橋本 篤
写真協力=星のや
協力=星野リゾート