フランスの地方菓子にも出会えるのもうれしい

上はフランス・サンジニ地方の銘菓「サンジニ」210円、下がヴォンテ地方のブリオッシュ「ヴォンディエンヌ」115円。

 さらに、フランスの地方菓子もさりげなく売られています。赤く染めたアーモンド、プラリネローズを練り込んだサンジニ地方の銘菓「サンジニ」、ヴォンデ地方のブリオッシュでオレンジの花の香りがする「ヴォンディエンヌ」。大きく焼いてカットしたふんわり優しいお菓子は、日本人の誰もが好きなほんのりした甘さ。一度食べたらクセになります。

 ペゲロさんは、マフィンもひと工夫。カットすると、生地がマーブルになっているのがわかります。キャラメルで固めたアーモンド、自家製ヌガティーヌを混ぜたほろ苦い「キャラメル」、酸味のきいた「ブルーベリー」、フランス産カカオマス、チョコチップ、ココアパウダー入りでビターな風味の「チョコレート」の3種類。口溶けがいいから、1個ぺろりと食べてしまいます。

マフィン(左からキャラメル、ブルーベリー、チョコレート)各191円。
「クレープ シュークル」230円、コーヒー、紅茶は各210円。

 イートインの自慢は「クレープ シュークル」。フランス風に粉糖を軽く振っただけのシンプルなクレープです。注文があってから焼いて、縁はサクサク、中心はもっちり。ラム酒で香りづけしており、シンプルですが、奥深いおいしさです。クレープ生地を1晩寝かせ、焦がしバターで焼き上げているのだそう。テイクアウトもできますが、ぜひ、焼き立てを店内でいただきたい。

 ペゲロさんは粉の配合や発酵時間を変えるなど、常に「よりおいしく」と試行錯誤を重ねています。「いい材料を選ぶことと、1日の仕事の流れを考えてすべてをきちんと仕上げることが大切です」と、そのモットーもいかにも職人さんらしい。フランスのおやつパンについてたずねると、「普段に食べるのは、クロワッサンやパンオレなどシンプルなものが多い」とのこと。「お菓子もおやつパンも日本人の好みを意識して、甘さは控え目にしているんですよ」と路子さん。どのパンも口溶けが良く、後口がすっきり。添加物なしで、小麦粉をきちんと発酵させてしっかり焼き込んだパンのおいしさに、改めて気づかされます。

 週末には、フランス人が大好きな小さなシュー「シューケット」も登場します。近くにあったら、毎朝、元気に「おはよう」の挨拶をして、焼き立てのフランスパンを買いたいお店。おいしいパンを食べると、毎日、いいことがあるでしょう!

『オンコー アン マタン』
所在地 兵庫県西宮市川添町4-2
電話番号 0798-42-8544

宗田洋子(そおだ よおこ)
ライター。神戸生まれの神戸育ち。神戸を離れたことがない神戸っ子。ライター歴30年以上で、関西の雑誌の取材だけでなく全国誌でも関西取材を手がけ、老舗から新店まで回ったお店は数知れず。移り変わる街を見続けてきた。食いしん坊で飲んべえ。

 

Column

そおだよおこの関西おいしい、おやつ紀行

生まれも育ちも神戸の生粋の神戸っ子で、長年の関西での取材経験からおいしいお店を知り尽くしている、ライターのそおだよおこさんが、関西の「今、食べてほしい!」というおやつを紹介します。

2014.05.11(日)
文・撮影=そおだよおこ