フィリップ・ジャルスキーはフランスが誇る至宝

『ポルポラによるファリネッリのためのアリア集』
フィリップ・ジャルスキー(カウンターテナー)、アンドレア・マルコン(指揮)、ヴェニス・バロック・オーケストラ
2,600円 発売中(ワーナーミュージック・ジャパン)
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 ああ、なんという美声! 薔薇と咲き木犀と薫る、地平線まで続く永遠の花園に迷い込んでしまったみたい。フランスを代表するカウンターテナー歌手フィリップ・ジャルスキーの新作『ポルポラによるファリネッリのためのアリア集』を聴きながら、雲の上の天使たちが奏でているような至福の音楽美にすっかり陶酔している私です。

 カウンターテナーとは、テノールよりさらに高い男声パートを歌う歌手のことで、日本では「もののけ姫」がヒットした米良美一さんや、ソプラニスタの岡本知高さんが有名だけど、女性より豊かな肺活量で煌めく高音の冒険を披露する彼らには、両性具有の神のごとき崇高さを感じてしまう。

 中でも、30代の若さでフランスの芸術文化勲章シュヴァリエの称号を与えられたジャルスキーは、本物中の本物。

 彼が最も得意とするバロックのレパートリーを再び聴けることはこの上ない喜びなのです。シックなフランス歌曲のアルバムも素晴らしかったけれど、彼の超絶技巧テクニックと、異形の花のような艶やかさが極まるのは、「カストラート」が名作曲家に書かせたバロック時代の音楽に尽きる。もう何度リピートして聴いたかわからないほど、この歌声にハマっています。

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2014.04.08(火)