ユジャ・ワンはクラシック界のレディー・ガガ?

『ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番、プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番』
ユジャ・ワン(ピアノ)、グスターボ・ドゥダメル(指揮)、シモン・ボリバル交響楽団
¥2940 発売中(ユニバーサル ミュージック)

 今一番面白いピアニストは誰? と聞かれたら、いの一番に紹介したいのが中国出身のユジャ・ワンよ。ショートヘアにミニ丈のドレス、10cm以上はある超ハイヒールを履いてステージに上る彼女は、まるでキュートな小動物。一度見たら忘れられないユニークなファッションは、クラシック界のレディー・ガガと呼んでもいいくらい。気の強そうな顔立ちと、「私は私よ!」という超個性的なオーラからは、ジャンルを超えて大きなメッセージを伝えたい、という彼女の強い意志が伝わってくるのです。

 このユジャ、実際に生演奏で聴くと誰もが腰を抜かしてしまうほどの超絶テクニシャン。録音で聴いても相当うまいけど、ライヴではそのコントロールの素晴らしさに肝をつぶしてしまうのです(興味のある方はYoutubeでぜひ彼女の指の動きをチェックしてみて)。

 もちろん、音楽はテクニックのみならず。心のこもった表現力と知的な解釈があってこそのアートというもの。でも、ピアノという楽器は彼女の登場によって新しい「言葉」を得たようにも思う。どんな難曲をも、シルクの一枚布のようになめらかなタッチで弾きつくしてしまうユジャの指は、羽根が生えた魔法の指なのです。

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2013.12.17(火)