対馬の麺、「ろくべえ」と「対州そば」が珍しい

 対馬で食べておきたい名産品の中でもびっくりしたのが、「ろくべえ」。山がちで痩せた土地の対馬でも育つサツマイモを、あれこれと4カ月の手間をかけて醗酵させた麺。別名“セン”ともいい、完成までに千回も手間がかかることからそう呼ばれているとか。

 目の前に出されたろくべえは、すまし汁に長さ2センチほどの太い麺がいくつも沈んでいる状態。いわゆる“すする麺”をイメージしていたので、まずそのビジュアルに意表を突かれました。

 麺の表面はつるつるしていて、中はもっちり。噛むとほんのりサツマイモの名残を感じます。その食感がぷるぷるというか、ぽくぽくというか……。麺の概念が覆った瞬間でした。

 続いて、「対州そば」。これは縄文時代後期に大陸から伝わり、品種改良されることなく原種に近いそばです。情報伝達が難しかった山がちな島ゆえの、昔から変わらない食文化の筆頭ではないでしょうか。少し苦みを感じる濃厚な味わいで、そば通はこの味を求めてわざわざ訪れるそうです。

 他にも水揚げ量が全国トップレベルのアナゴもあります。あの大谷翔平も対馬のアナゴが好きだと聞き、次回挑戦したくなった一品です。

対馬

●アクセス 空路は長崎空港または福岡空港から約35分。海路は博多港(福岡)からフェリーで約4時間40分~5時間、高速船は約2時間15分

取材協力
対馬観光物産協会 https://www.tsushima-net.org/
ORCオリエンタルエアブリッジ https://www.orc-air.co.jp/

おすすめステイ先
hotel jin https://www.hoteljin.com/

古関千恵子(こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること30年あまり。
●オフィシャルサイト https://www.chieko-koseki.com/

Column

古関千恵子の世界極楽ビーチ百景

一口でビーチと言っても、タイプはさまざま。この広い世界に同じ風景は一つとして存在しないし、何と言っても地球の7割は海。つまり、その数は無尽蔵ってこと? 今まで津々浦々の海岸を訪れてきたビーチライター・古関千恵子さんが、至福のビーチを厳選してご紹介します!

2024.09.07(土)
文・撮影=古関千恵子