世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、週替わりで登板します。
第27回は、大沢さつきさんがいち早くチェックに出かけた、イタリアの話題のヴァカンス地についてのお話。
お伽の国的とんがり屋根は、中世悪代官の所行!?
近年、イタリア人の間で、サルディーニャ島に代わって注目を集めつつあるのが、プーリア地方。“新しい”古き良き田舎を求めるイタリアンたちが、次なるヴァカンス地として進出しはじめているのだ。
右:ベッドに寝て見上げると、こんな具合にとんがり屋根の天井が見える。
イタリア半島のかかとに位置するプーリア州は、まだまだなじみが薄い。バーリやレッチェといった街の名に聞き覚えはあっても、その実態、日本ではあまり知られていない。そこでプレ取材。一体、どんなとこなんだろうかと出かけてみた。今回は、そんなプーリアの触りをちょっとご紹介。いずれ「CREA Traveller」で取材に出かける日も、そう遠くはないような……。
まずはバーリ空港から車で約1時間のアルベロベッロ。とんがり帽子のような屋根が特徴的な建物、世界遺産のトゥルッリで有名な街。童話のようなキュートな街並で知られるところだ。
このトゥルッリ、中にはひとつの部屋があるだけで、家というよりは小屋に近い。なんでも、中世の街の支配者が、当時ナポリに上納する税金をごまかすために、かんたんに壊せる家を造らせたのがはじまりとか。家の数だけ取られる税金を減らすべく、ナポリの徴税者が来ると屋根を壊して家の数を減らしたらしい。住んでるほうは堪ったもんじゃないが、こんな圧政がまかり通っていた時代の産物だ。いまではすっかり観光名物になっていて、なかには、箱だけ残してリノベートし、ブティックホテルにしているトゥルッリもたくさんある。
2014.04.01(火)
文・撮影=大沢さつき