シチリアを漢字変換してみると……
![CREA Traveller 2023 Vol.3「トスカーナとシチリアで見つけた幸せの法則」は、現在も好評発売中。この時は、俺もちゃんとトスカーナまで取材に行かせてもらっている。おいしいスパゲッティやピザをうんとたべてきたよ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/d/e/1280wm/img_decc9ed5902e82e715e06393352e88031062589.jpg)
イタリアという国名のみならず、かの地の都市や地域の名を漢字化した店名もあるんだろうなと思い立ち、取り急ぎグルメサイトを検索すると、ローマだのフィレンツェだのは見当たらず、シチリアが目立った。
この島の漢字表記には、獅子里、斯加里野、西西里、細細里、細々里、獅子利、西齊里亜、西齊利亜など、かなり揺れがある(これらは中国の例でしょうね)のだが、日本の飲食店はそれぞれオリジナルかつポエティックな文字を当てている。
「詩々里庵」(佐賀県鳥栖市/イタリアン)「七里屋茶房」(長野県飯田市/カフェ)あたりは業態からいってシチリアがネタ元のような匂いがする。しかし、「麺屋 七利屋」(神奈川県藤沢市/ラーメン)、「七里庵」(愛知県名古屋市/そば)となると、あんまりイタリアの島とは関係ないのかとも思えてくる……。下衆の勘繰りかもしれない。
![新大久保の食料品店で「紅酢」なる文字を目にし、これは「ベニス」と読ませるのだと一瞬確信したが、韓国語で「ホンチョ」と読むそうである。そもそもヴェネツィアと関係ないしな。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/d/b/1280wm/img_db0c7e531fd279faf6cf51960c0c1c25201177.jpg)
勘繰りすぎといえば、東京の根岸に「美良乃」という店があったので、これはミラノだろうと当たりをつけたら、読みは「みよしの」だった。しかも日本料理店だった。
あと、デスクの上に積まれた未了のタスクから目を背けるようにしてこういうことばかり調べていると、世の中には「トリノ」と名乗る焼鳥屋が結構多いことを知る。
2024.08.12(月)
文・撮影=ヤング