●新作映画では、テンションの高い特撮マニアに挑戦

――そんな楢原さんの最新出演作『カミノフデ~怪獣たちのいる島~』では、鈴木梨央さん演じるヒロイン・朱莉と冒険の旅に出る同級生・卓也を演じられています。

 コロナ禍ということもあり、シーンの一部を演じた映像資料を送るというオーディションでした。そのため、村瀬継蔵総監督たちに初めてお会いしたのは、衣装合わせのときでした。

 特撮映画なので、目の前にいない怪獣などを想像しながらのグリーンバック前でのお芝居が多くて、とても難しかったですね。また、卓也は特撮マニアの役柄なので、自分自身が持っている「仮面ライダー」や「ウルトラマン」に登場する怪獣や怪人に対する想いに寄せながら演じていきました。

――『ゴジラ』『大怪獣ガメラ』シリーズなどで怪獣造形の礎を築いた、怪獣造形界のレジェンドである村瀬継蔵総監督の印象は?

 僕が言うのも、おこがましいのですが、村瀬さんがいるだけで現場が引き締まるというか、とにかく存在感が凄い。周りのスタッフさんからのリスペクトも感じますし、毎シーン毎シーン「よく頑張ったね」って、孫に語り掛けるように優しく言ってくださるんです。すべてにおいて肯定的な方なので、とても安心感がありました。

――どのようなことを学んだ現場だったといえますか?

 ちょっとオーバーなくらい、あえてテンションを上げて卓也を演じたんです。そういう意味では、ミュージカルのときとは違う吹っ切れたお芝居をすることが勉強になりました。現場では一人で、ぴょんぴょんジャンプとかして、テンションを上げていたので、傍から見たら変な奴に見えたんじゃないか、と思いますが(笑)。

2024.07.26(金)
文=くれい響
撮影=平松市聖