南仏のミシュラン3つ星「Mirazur(ミラズール)」を率いる、マウロ・コラグレコシェフ。その新たな美食の舞台となる「CYCLE(スィークル)」は、東京で今年行くべきレストランの筆頭格です。世界最高峰のシェフと称賛されるコラグレコ氏へのインタビューをベースに、「CYCLE」で展開される「循環型ガストロノミー」の世界を紐解きます。


名実ともに世界一のシェフ、マウロ・コラグレコ

 マウロ・コラグレコさんはアルゼンチン出身。2001年、23歳で渡仏し、故ベルナール・ロワゾー、アラン・パッサール、アラン・デュカスなど、フランスを代表するシェフのもとで研鑽を積みました。

 ゴージャス、リッチが上級とされていた従来のフレンチを、旬の新鮮な素材に沿った、繊細でみずみずしい料理へと革新していったシェフたち。マウロさんもそれぞれの料理哲学を受け継ぎながら、独自の進化をたどっています。

 2006年、南仏コートダジュールの東端にある港町、マントンで独立開業した「Mirazur(ミラズール)」は、すぐに話題の店となり、翌年にミシュランの1つ星を獲得。12年に2つ星、19年にフランス人ではないシェフの店では極めて珍しい3つ星を獲得したほか、同年の「世界のベストレストラン50」で1位、マウロさん自身も20年版「世界のベストシェフ100」の1位に輝くという快挙を成し遂げています。

 とはいえ、マウロさん自身は、こうしたタイトルにさほどこだわっていないようです。

「非常に光栄なことですが、タイトルは結果であり目的ではありません。大事なのは、いつも自分自身でいること。そして、ゲストの喜びこそが自分の喜びであるという感覚です。ゲストに喜んでもらうために、常に新しいことを学び、挑戦し、自分自身も成長できるいまの環境に感謝しています」と、マウロさん。

2024.02.23(金)
文=伊藤由起
撮影=佐藤 亘
協力=江藤詩文