「CYCLE」で体験する循環型ガストロノミー
![「CYCLE」では、約2500年前に鳥海山の噴火で埋もれた木材を店内オブジェやテーブルに使用。©CYCLE](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/d/1280wm/img_5d5294b42ec5f8c0298c631a766f139c161655.jpg)
東京・大手町の『CYCLE』においても、サステナビリティは重要なミッション。その店名には、美食の体験を通して、常に生まれ変わる自然の美しさや、循環するエネルギー、すべての生物の相互作用を再表現したいというマウロさんの思いが込められています。
食材は国産および関東近県のものを積極的に使用し、理念を同じくする農家とともに、開業前から自然農法による野菜やハーブの栽培に着手。さらに、廃棄物ゼロを目指して無駄のないレシピを開発、すべての活動から使い捨てプラスチックを排除するなどして、環境への負荷を最小限にする工夫を重ね、「循環型ガストロノミー」を実践しています。
「東京という巨大なマーケットには、こちらから足を運ばずとも全国各地から優れた食材が集まってきます。それでも、私たちはやはり産地へ出向き、そこで何が起きているのか、行われているのかを見て、そのうえで素材を選ぶというアプローチを大切にしています」
![「CYCLE」の前にも小さな“ガーデン”を作りハーブなどを育てている。©Wataru Sato](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/f/1280wm/img_4fa86d4fa25abb655e51bd0677189563173239.jpg)
「『Mirazur』では、1年は365シーズンあると考え、“ガーデン”の収穫次第で日々のメニューを変えています。産地から遠く人員にも限りがある東京で全く同じことはできませんが、基本的な理念は同じ。季節性を重視し、そのときにある最も素晴らしい素材に沿ってメニューを変えていきます」
![根、葉、花、実をそれぞれ表現した「CYCLE」のミニャルディーズ。©Matteo Carassale](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/9/1280wm/img_09935d53dbac0790fa5ef7b03b4995ef278370.jpg)
『Mirazur』では、日によって根、葉、花、実のコースのいずれかを提供しているのに対し(これを可能にするため100人近いスタッフがいるそう)、『CYCLE』では1つのコースの中で、根、葉、花、実という植物のライフサイクルが表現されます。これは、マウロさんが手掛ける数あるレストランの中で唯一、『CYCLE』だけのエキサイティングな試みです。
「生物が生まれ、終わり、再生していく。その全体の流れ、循環=CYCLEを感じていただけるコースです。季節の素材が持つパワーを感じられるよう、そのベクトルを活かした調理、味付け、盛り付けを意識しています」
2024.02.23(金)
文=伊藤由起
撮影=佐藤 亘
協力=江藤詩文