「地始凍」。ホテル10年目の節目に向け、始動の料理
このとき、七十二候は「地始凍(ちはじめてこおる)」。収穫の時期を終えた大地が、初めて凍る時期であることを表す、というのがこの日のコンセプト。ひんやりとしはじめた嵐山で、来年早々に10周年を迎えるホテルの節目に向かい、厳かにランチがはじまる。
暦のとおり、少し冷え始めた嵯峨嵐山では、やはり料理の主役が火となる。シュンシュンと鉄瓶に湯が沸く横では、ムール貝がずらりと並んで焼かれている。とても原始的だけれど、テーブルに並ぶ時には墨入りのシューでムール貝の身とピュレを挟み、現代的な趣向に。
ゲストがそんな料理を楽しんでいる間にも、炎の料理が続く。繊細な味わいの近江牛も葉と生地で包んで豪快に。骨のような形の器にひらりと盛られ、原始人気分でがぶり。
もちろん竹も調理に使われる。竹筒の中で松茸や赤カブなどがクマの脂身や生ハムとともに蒸し上がる。バーニャカウダのソースに見立てた、鮒鮨とニンニクのソースが楽しい。
2023.12.22(金)
文=CREA編集部