秋の京都の美しさは日本人が皆知るところ。その美を求めて全国から観光客が集まり、秋の味覚を求めて飲食店は争奪戦となるわけです。

 11月のある日、ひっそりと開かれたランチは、その頂点ともいえる内容。なにしろ場所は嵯峨嵐山の竹林。誰もいない手入れの行き届いた竹林にテーブルが設けられて行われたシェフズ・テーブルでの至福の体験をレポートします。


その日、ランチは嵯峨嵐山の竹林にて

 「ザ・リッツ・カールトン京都」の館内で1日6名のみに向けて開かれるレストラン「シェフズ・テーブル by Katsuhito Inoue」の井上勝人シェフは、季節の移ろい、京都の自然の美しさやおいしさを誰よりも大切にしているシェフのひとりだろう。

 なにしろメニューは、一年を細かく分けて季節の移ろい、自然の変化を表現する「七十二候」に沿って構成。京都に伝わる「始末」の心を大切にし、自然から享受した恵みを余すことなくレストランでの表現に活用する。

 そんな独自のスタイルで、構想を練ったのが、本物の自然の中での「シェフズ・テーブル」。秋の京都、嵯峨嵐山の竹林でそんな催しが開かれた。

 ホテルから車を走らせること30分ほど。辿り着いたのは、嵯峨嵐山の竹林の入り口。チップを敷き詰めたアプローチの奥に、井上シェフの姿が見える。

 見上げれば、雨上がりの竹が美しく、葉がこすれる音も耳に心地いい。これは、どこのレストランでもできない体験だ。

「シェフズ・テーブル」主要メンバー、庭師も参加

 井上シェフの「シェフズ・テーブル」といえば、苔や流木、生の花や葉を使ったテーブルのプレゼンテーションも見事だ。

 これらはホテルの庭を知り尽くす、庭師・鈴木耕喜さんの仕事であり、普通なら処分するような素材も自然からの贈りもの。シェフと庭師の考えは重なり、レストランの要となっている。

 もちろん、この日も鈴木さんのプレゼンテーションが圧巻! 青々とした竹と紅葉の葉を彩りよく立体的に飾り、嵯峨嵐山の魅力が凝縮したかのようだ。

2023.12.22(金)
文=CREA編集部