京都に根づくものづくり精神

 歴史や伝統、日本文化が豊かに残る京都。そこは世界に誇る観光都市として魅力的であるだけでなく、古くは平安、鎌倉の時代から専門的な職人が工房に集い、西陣織、友禅染、京焼など高品位で芸術的な伝統工芸品をつくり、京都独自の高い技術と職人の細やかな心づかいを今に伝える“ものづくり”の都だ。

 その京都のものづくり精神は、京都府宇治市に本社とスタジオを置き、世界中のアニメファンから技術力、表現力を絶賛される制作会社「京都アニメーション」(以下、京アニ)の作品にも脈々と息づいている。

限りない細部へのこだわり

 京アニ作品最大の魅力は、アニメーションの生命線ともいえる丁寧で技術力の高い作画クオリティにある。例えば、軽音楽部を舞台に女子高生バンドの温かな日常を描く『けいおん!』。京アニはキャラクターが体を揺らしながら楽器を演奏するリアルなライブシーンを、丁寧な手描きアニメで表現し驚かせた。

 再現の難しい楽器演奏シーンを見事に描いたという意味では、吹奏楽を題材にした『響け!ユーフォニアム』シリーズも、作画の素晴らしさを堪能できる作品だ。滑らかで細かい指の動き、キャラクターごとに異なる管楽器のブレスのタイミング、奏者同士のアイコンタクトなど、吹奏楽経験者も驚くこだわりを、惜しみなく描き込む。

 男子水泳部が舞台の『Free!』シリーズでは、アニメーション表現が難しい“水”と水泳選手の躍動する筋肉美を描き、高校弓道部員の青春群像を描いた『ツルネ』シリーズでは、“静”と“動”が交錯する弓道の魅力とキャラクターの心情を、細やかな作画や光の表現によってビビッドに照らし出す。

2023.12.27(水)
文=阿部美香

CREA 2023年秋号
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