(広瀬)すずちゃんがお芝居の教科書になりました

――劇中ではアイナさん自身が作詞・作曲した楽曲を、小林武史さんがサウンドプロデュース。そんな小林さんの印象は?

 小林さんも、もともとファンで、小林さんの娘さんのHARUHIさんが歌う「ひずみ」って曲も大好きなんですよ。小林さんの音楽は「素晴らしい!」の一言に尽きるのですが、小林さんの人柄が好きなんです。何の邪念もないというか、自分がいいと思ったものをひたすら作り続けるんですが、それは岩井さんも一緒。

 だから、共通して尊敬する部分が多いし、唯一無二のタッグだと思います。

――キリエのマネージャーとなるイッコ(真緒里)役の広瀬すずさんとのお互いの関係性の作り方は?

 すずちゃんは最高でしたね! クランクインから、すずちゃんと北海道ロケだったんですけれど、お互い人見知り発動して、「好きな食べ物、何ですか?」みたいな関係から始まったお芝居だったんです。

 でも、「スタート!」の声がかかった瞬間、すずちゃんの黒目がギュッて定まって、纏う覇気が変わって、完全に役そのままになったんです。そのときに「お芝居って、こういうことなんだ」と察し、以来、すずちゃんがお芝居の教科書になりました。すずちゃんの竜巻みたいに周りを巻き込むお芝居に巻き込まれて、身を委ねて、路花ができていったので、ホントすずちゃんのおかげです。

――先ほど言われていたように、BiSH解散に向けての活動と平行しての俳優・作曲活動は、かなり大変だったと思います。

 正直大変でした(笑)。BiSHでは12ヶ月連続リリースをやっていて、振り付けを毎月やりつつ、ツアーも同時に2本やっていたんです。

 とにかく東京にいないので、新幹線や飛行機にギターを持ち込んで、遠征先の楽屋とかで、一人作曲して、開演時間が来たらBiSHのライブに出てましたね。

 それでライブが終わったら、ホテルで作曲して、寝ないまま振り付けを考えていたりしたので、だんだん肌が荒れたり、目が腫れてきたりしましたね(笑)。

2023.10.27(金)
文=くれい響
撮影=杉山拓也
スタイリング=菅沼愛(TRON)
ヘアメイク=KATO(TRON)