少しズレてるところが3人でやることの魅力
──この3人だと、受け手がいろいろと想像できる作りになりやすい?
岸田 そうですね。お互い一致する部分もあるんですけど、一対一だと一致するものでも、3人集まるとだいたい一致しないんですよね。だからたぶん……1人抜けちゃったのかもしれないですけど(笑)。
佐藤・森 あはははは!(笑)
岸田 その一致しない関係って、意図せず隙間ができるんですよ。なんかガタガタしてるけど、転がってたらなんか周りがフワーっとしてる円形みたいな感じになるというか。扇風機みたいなね。そのズレてる感じは、この3人でやってる大きな魅力だと僕は思ってて。隙間っていうのは音数だけじゃなくて、なんか普通なのにちょっと足らないとか(笑)、こんなスカスカなのに足りてる、みたいな。それは曲作りの中でけっこう大事にしてることなので、3人でやるとわりと作りやすいのは確かです。
──出来上がったアルバムの感触はいかがですか?
森 僕が予想してたものは、もうちょっとハイパーなものでした。
岸田 『呪術廻戦』みたいな?
森 あのー、うん(笑)。すごく緻密なものというか、頑張ってぎゅっと詰め込む感じを想像していました。でも出来上がったアルバムには、そういうものもあるけど、そうじゃない、もっとすごく自由なものとの、両方があるというか。そこが今回面白かったなと思いますね。あと、昔「やりたいなあ」と思って作ってたけど、作品になるまでに至らなかったものが、今の自分たちのスキルや想像力でうまいこと造形に仕上げることができた。昔っぽくもあるし、でも紛れもなく今のものだし。それが、不思議な感覚でしたね。
佐藤 かっこつけてるけど、見栄は張ってない、みたいなアルバムになってるのかなと。「今のこの3人が集まると、こんなんです」っていうのが素直に出せたんじゃないかなと思いますね。
『感覚は道標』
【通常盤】(CD)3,400円。【生産限定盤】(2CD+Tシャツ)6,900円も。
<CD収録曲>(共通)
1. happy turn
2. I'm really sleepy
3. 朝顔
4. California coconuts
5. window
6. LV69
7. doraneco
8. 馬鹿な脳
9. 世界はこのまま変わらない
10. お化けのピーナッツ
11. no cherry no deal
12. In Your Life (Izu Mix)
13. aleha
<生産限定盤のみ>
1. メインテーマ
2. いがいが根
3. 伊豆スタジオ宿泊所
4. 三村さんのおもてなし
5. 伊豆のテーマ
6. スタジオの大きな窓
2023.10.12(木)
文=石橋果奈
写真=深野未季