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 テレビアニメ「呪術廻戦」の第2期「懐玉・玉折」のエンディングテーマ「燈」を担当する、シンガーソングライターの崎山蒼志さん。その「燈」も収録されている新アルバム『i 触れる SAD UFO』が2023年8月9日(水)に発売された。

 20歳をすぎ、これまでの自身の歩みを綴ったこのアルバムは壮大なテーマ感を持ちながら、崎山蒼志の今が詰まった“私小説”のような趣の1枚になっている。3枚目となる新アルバムをリリースしたばかりの崎山蒼志に今の心境を聞いた。


自分の音楽や表現を客観視できるようになった気がする

――アルバム名が『i 触れる SAD UFO』と印象的な名前になっています。収録曲のタイトルでもありますが、今回のアルバムのコンセプトを教えてください。

 1曲目のタイトルをそのままアルバム名にしたのですが、無意識化にある自分の原風景と意識的な想いをうまく描くことができて、アルバムを象徴する1曲だなと思ったんです。

 原風景という意味では、おじいさんが天文学が好きで、幼少期に一緒に星を見に行ったり、星に関する話をいろいろ聞いていた経験が根底にあったと思います。時間と星、SFというモチーフは自分の中にずっとあったものでした。

 そんな中で、日々のニュースを見ていると、どうしても他者との対立に直面する時があって。どうして、という想い。分かり合えない他者、「SAD UFO」と僕は書きましたが、いざ対峙したときに自分ならどうするだろう、そう考えて作った一曲です。

――「分かり合えないままで僕ら想い合えたならいい」と歌詞の中にありますね。過去のインタビューでは感覚的に曲を作ることが多いとおっしゃっていましたが、その辺りは少し変化してきた部分などはありますか。

 この曲や呪術廻戦のテーマ曲でもある「燈」はかなり意識的に作りましたが、根本的な部分は変わっていないですね。自然に出てきた言葉を音で運ぶ。そういう作り方はこれまで通りです。

 ただ、その言葉や音への向き合い方が少し変わった気がします。出てきた音楽や表現を客観的に見えるようになったというか。自分が好きなものはどういうものだからこういう作品が出来たとか、本当に客観的と言えるのかはわからないですが、自身の創作物を1歩引いて見えるようになったかなと。

2023.08.12(土)
文=CREA編集部
写真=今井知佑
ヘアメイク=根本亜沙美
スタイリスト=藤井希恵(THYMON Inc.)