実在するオクス駅での撮影はどのように……?

――撮影をしながら、怖くありませんでしたか?

 私はもともとホラーが好きなんです。だからお化けのメイクとか、セットとかに興味があって、それを直接見られたのが楽しかった。カメラが趣味で、フィルムカメラでいろいろ撮るんですが、現場でお化けのメイクをした子どもたちを撮ってあげました。子どもたちもお化けメイクを楽しんでいました。でも、その写真はちょっと見せられません。あまりにもリアルで、見たら腰を抜かすと思います。

――ホラーが好きというのは、怖くないということでしょうか? それとも怖いけど好き?

 ホラーの緊張感が好きで、怖いというよりは、見終わって「ああ、おもしろかった」という感じ。職業柄なのか、見ながら分析してしまうんです。「この場面でこんなふうに演技するのか」とか。だから「怖かった」よりは「うまく表現したな」という感想になります。

――オクス駅というのは実際にあるソウルの地下鉄の駅で、私もよく通るのですが、知っている場所だからこそ余計に怖いと感じました。

 実際にはオクス駅以外の複数の場所で撮っていて、主に釜山の撮影でした。特に印象に残っているのは、廃駅に行くために地下鉄の下に入っていくシーンがあるんですが、鉄道の下に入る経験ってまずないじゃないですか。

 始発の前に撮り終えて出ないといけない緊張感と、鉄道の下に隠れた空間があるのを見られたのが楽しかったです。

――他に撮影で楽しかった思い出は?

 夏の撮影だったのですが、ホラーというジャンルのおかげで撮影はほとんど夜、あるいは室内で、汗をぬぐった記憶がないほど涼しかったです。釜山ではカフェ巡りも楽しみました。

――演技で悩んだのはどんな点ですか?

 普段、びっくりしてもそんなにリアクションが大きい方ではないので、どの程度驚く姿を表現するべきなのか悩みました。幸い、ナヨンもそんなに感情の振れ幅が大きい方ではなく、私自身のリアクションと近い感じでいいと監督が言ってくれたので、やりやすかったです。

2023.10.06(金)
文=成川 彩