「私の演技人生は『SKYキャッスル』の前後で一気に変わりました」

――社会現象にもなったドラマ『SKYキャッスル』のヘナ役で注目を集めました。『SKYキャッスル』はキム・ボラさんにとってどういう作品ですか?

 実はオーディションにはあまり期待せずに参加したので、合格したのは意外でした。その冷静な感じがヘナ役に向いていると評価されたようです。

 撮影しながら自然と役になりきれて、ヘナの感情も状況もすんなり入ってきました。ただただ撮影を楽しんでいたのに、あまりにも反響が大きくてびっくりしました。

 本当に私の俳優人生は『SKYキャッスル』の前後で一気に変わりました。『SKYキャッスル』で演技力をそれなりに認めてもらえたようで、オーディションなしでオファーをいただくことが増えました。

――『SKYキャッスル』のヘナは貧しい家庭環境でも自力でお金を稼ぎ、成績もトップクラスという意志の強いタイプ、その直後のドラマ『彼女の私生活』のシンディは真逆で金持ちのわがまま娘、そして今回『オクス駅お化け』の真相を追う情熱的な記者ナヨン、いずれも個性的なキャラクターですが、全然違う。キム・ボラさん自身に誰が一番近いと思いますか?

 うーん、とっても難しいですね。あえて言えば、ヘナかな。大変な状況になるほど、冷静になるタイプなんです。緊張しないというより、「おまえは緊張する必要ない」って自分に冷静に語りかけるようなところがあります。

――今撮影中のドラマはどんな内容ですか?

 『砂にも花が咲く(原題)』という、韓国の相撲「シルム」を題材にしたドラマです。私はミステリアスなカフェのオーナー役です。

――最後に、『オクス駅お化け』をこれから見る日本の観客に、ここに着目して見るともっとおもしろいという映画の見どころを教えてください。

 ある数字が出てくるんですが、その数字は実際に韓国で発生した子どもが犠牲となった事件の起きた日付なんだそうです。映画には出てこないビハインドストーリーですが、そういう意味も込められた数字で、映画の重要なカギを握る数字です。

 ホラー映画と言っても、怖い雰囲気やお化けだけでなく、それぞれの登場人物が直面している恐怖が何なのかに着目して見ると、より奥行きが感じられると思います。例えばナヨンなら、社会人1年目で感じている恐怖。みんなが経験したような恐怖なのできっと多くの人が共感できると思います。

『オクス駅お化け』

2023年10月6日(金)新宿ピカデリー他公開

脚本:高橋洋、イ・ソヨン、白石晃士(脚本協力)
監督:チョン・ヨンギ
出演:キム・ボラ、キム・ジェヒョン、シン・ソユル
2022年/韓国語/80分/スコープ/カラー/5.1ch/原題:옥수역귀신
配給:松竹ODS事業室
Copyrights ©2023, MYSTERY PICTURES & ZOA FILMS, ALL RIGHTS RESERVED
https://obake-movie.com/

キム・ボラ

1995年9月28日、韓国インチョン広域市出身。10歳から子役として活躍し、2005年にテレビドラマ『ウェディング』でデビュー。過去の出演作にドラマ『噂のチル姫』、『主君の太陽』、『SKYキャッスル〜上流階級の妻たち〜』、『彼女の私生活』、『タッチ』、映画『ホロウィッツのために』、『容疑者X』、『怪奇マンション』などがある。

2023.10.06(金)
文=成川 彩