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夏の知らせを告げる一面のルピナス畑

 3時間を越すドライブが当たり前のスケジュールで、車中に飽きるんじゃないかと心配していたが、杞憂に終わった。大自然と陸続きの道。名もなき絶景が次から次へと眼前に現れる。

 写真には収まりきれない風景だ。

 氷河から溶け出した水がそこかしこに滝を作り、

 むき出しの溶岩に苔をはやす。

 突如として現れるルピナスの畑。色の少ないアイスランドの風景で一際映える青紫色を持つ。

 土壌を選ばず、繁殖能力が高いのでラテン語の“狼”由来の名前が付けられたルピナス。実はアイスランド人はあまり好まないらしい。

 どこまでも見渡せる中をゆくドライブ。続く一本道の先には氷河が。

 カーブを曲がり切ると白夜で傾く夕日が海を照らしていた。

 ここが一体どこなのかも忘れさせてしまう。

 長いドライブを終えてホテルの部屋に戻ろうとするとたくさんの鳥たちに囲まれる。旅も終盤。リングロード北部を直走り首都レイキャビクへ向かうのだ。

大坪千夏(おおつぼちなつ)

1966年生まれ。フリーアナウンサー、タレント。アナウンサーとしてフジテレビで活躍。退社後、夫の仕事の都合でスイス、ブラジル、イギリス、マレーシアに計18年以上の在住経験があり、旅や仕事で訪れた国は40カ国以上! 2023年に東京に戻り、活動中。

次の話を読む「必ずまたアイスランドへ」 絶滅危惧種の鳥「パフィン」を愛で 旅の終わりは第二の都市レイキャビク

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2023.09.06(水)
文・撮影=大坪千夏