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2人のお気に入りのシーンは?

――ドラマのヴィンチェンツォ・カサノは、韓国のトップ俳優ソン・ジュンギさんが演じられました。日本版のヴィンチェンツォである和田さんと共通点はありますか?

和田 それはヴィンチェンツォとしてですか? それともソン・ジュンギさんとですか? ソン・ジュンギさんとの共通点はゼロです(笑)。恐れ多くて(笑)。

 ヴィンチェンツォで言うと、かっこいい部分に目が行きがちなんですけど、冒頭のシーンにあったような、タクシーで睡眠薬をもられて窃盗にあうみたいな、ちょっと抜けた部分が似ていますね。僕も抜けた部分がだいぶ多い人間なので、そういうところは自分の悪いところでもあるけど、魅力として、ちょっとかわいらしい部分が嘘なく出せるんじゃないかなと思いますね。

 ソン・ジュンギさんと和田さんは童顔でありつつも、男性的な強いイメージがあるというミスマッチさがとても似ていると思います。ヴィンチェンツォ・カサノという役としても、童顔なのにマフィアというミスマッチな部分がとても合っていると思います。

 先ほどのお話にもあったように、韓国と日本で文化の違いというのがやはりあるので、ヴィンチェンツォがこんなイメージだった、こういう魅力があったという部分もあるとは思いますが、和田さんの持っている魅力を出していただければ大丈夫だと思います。

和田 ありがとうございます。本当にありがたいお言葉です。こんなに世界中から支持されている大きい作品の中で、これを言ってくださる心の広さ。懐が深い。がんばります!

 (ファイティングポーズ)

――お二人の「ヴィンチェンツォ」の一番お気に入りのシーンを教えてください。

 鳩がヴィンチェンツォの部屋に入ってきて暴れる場面があるのですが、その後、ヴィンチェンツォと鳩が仲良くなり、彼が敵に襲われたときに鳩が仲間を連れて助けにきてくれるシーンが印象的です。

 あのシーンは鳩が持っている平和の象徴というイメージと、マフィアという悪の象徴で、作品の持つアンバランスさを表現しているんです。

和田 ミュージカルでは鳩はどうなるんだろう(笑)。

 (笑)

和田 僕のお気に入りのシーンはネタバレになってしまうのであまり言えませんが、最終話、ヴィンチェンツォのマフィアらしさが際立つシーン。あの残酷なやり方が「うわぁ、マフィアだ」って。これまではスマートでかっこよかったのに、あんなに冷酷で残酷なこともできるというギャップが好きなんです。

 鳩とマフィアもそうですし、マフィアであるヴィンチェンツォとクムガプラザの住民も対極の存在だと思うんです。そうしたギャップを大事にしている作品だからこそ、きっとお客さんもそれを求めている中で、ちゃんと最後に残酷さを持ってくるっていうのが粋だなと感じました。

2023.07.29(土)
文=CREA編集部
写真=榎本麻美
ヘアメイク=山本昌子
スタイリスト=石橋修一