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 2021年に韓国で放送され、世界190か国以上で配信された大ヒットドラマ「ヴィンチェンツォ」が日本でミュージカル化され、2023年8月に公演される。原作となったドラマは「愛の不時着」や「二十五、二十一」も手掛けたスタジオドラゴンが制作。

 イタリアマフィアのコンシリエーレ(相談役)を務める弁護士ヴィンチェンツォ・カサノが、韓国の悪徳企業を相手に壮絶な戦いを繰り広げる復讐劇だ。

 ミュージカルで主人公ヴィンチェンツォ・カサノ役を務める俳優の和田雅成さんとスタジオドラゴンのユ・ボンヨルさん(コンテンツ事業・運営統括 兼 コンテンツ運営局局長)が韓国のスタジオドラゴン社内で対面。ドラマ「ヴィンチェンツォ」の魅力にとどまらず、日本のドラマ作品にまで話が及んだ特別なインタビューをお届けする。

» 「これまでの成長を見せられる作品に」ミュージカル「ヴィンチェンツォ」で和田雅成が挑む“新境地”


世界で初めてミュージカル化される「ヴィンチェンツォ」

――2021年に韓国で放送された大ヒットドラマ「ヴィンチ​ェンツォ」が世界で初めて日本でミュージカル化されます。

 韓国で映像化されたのは2021年なので、日本でのミュージカル化とは制作時期が異なります。2年の月日を経て、韓国で制作された「ヴィンチェンツォ」が、演出も含めて、どんな姿で作品の世界観を表現されるのか楽しみです。

 原作となるドラマでは全20話だったのが、どのように要約されて総合エンターテインメント的に表現されるのかもとても気になるところです。

和田 ドラマだと、物とかすべてがリアルじゃないですか。でも舞台ってある意味、お客様の想像力を借りたりするんです。約3時間程度の限られた時間の中で、僕たちがどれだけ「ヴィンチェンツォ」の世界に入り込めるかがすごく大事だと思っています。

 例えば、本当はそこに物はないけど「ここに物があるんだ、ここに世界があるんだ」ってまずは自分たちが信じないと、お客様がそれを見ることは絶対できないと思うんです。公演中の短い時間でどれだけ嘘なく自分たちが信じ込めるかっていうのが、僕が舞台で大切にしていることの一つです。

――和田さんは2.5次元俳優として、これまで数々の舞台を経験されていますよね。

和田 そうですね。舞台の経験値としては間違いなくこれまで積んできていると思うんです。ただ、今回はミュージカルというところでいうと、僕はミュージカルを主戦場にしてきたわけではないので、そのあたりはしっかりやっていかなきゃいけないところですね。

 ドラマとミュージカルは、要素として背景、演技、音楽が必要という部分ではとても似ていると思います。違う部分があるとすれば、観客との呼吸があるという点でしょうか。

 俳優たちが演技をする中で、同じ空間にいる観客たちとどのように共感をして舞台を作り上げていくか、それによって作品の世界観が拡張されると思います。

2023.07.29(土)
文=CREA編集部
写真=榎本麻美
ヘアメイク=山本昌子
スタイリスト=石橋修一