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「脚本を載せてください」と希望した

――書籍にする際、こだわった点はありますか?

佐藤 脚本を載せてくださいと希望しました。放送に至った作品もあるけど、実現に至らなかった脚本が何本もあって。このままお蔵入りなのは悔しいので。少しでも興味を持ってくれるプロデューサーなどが現れて、日の目を見たら嬉しいな、というよこしまな思いもありつつ。

――これまでの監督作品、特に映画『memo』を撮られた時は「こういう役が演じられるという一面を見せたい」と語られていました。今回も、脚本を載せることで多角的に見てほしいという意図があったのでしょうか。

佐藤 それが目的では全くないですね。確かに初期の頃は、「こういう役もできる」という一面を見せたいと思ってた時期もありますが、大変ありがたいことに、監督2作目の『はるヲうるひと』を公開したあたりから、映画『さがす』やドラマ『ひきこもり先生』のような役をいただくようになって。もちろん「面白おじさん」というイメージは世間にあると思うし、それも大切な自分の一部分ですが。とにかく脚本はお蔵入りを覆したくて掲載しました。

――書くと一口に言っても、コラムや脚本などさまざまな種類がありますが、違いは?

佐藤 脚本は全然違うものですね。構成とかプロットを何冊もノートに書いて、それでようやく手書きで脚本に起こして、さらにノートパソコンに打つときにアイデアを足したりってことをやっています。

 コラムとかTwitterは、もう少し力を抜いて。それぞれの違いは字数くらいですけどね。

» インタビュー【後篇】に続く

佐藤二朗(さとう・じろう)

1969年5月7日生まれ。愛知県出身。1996年に演劇ユニット「ちからわざ」を旗揚げし、全公演で作・出演を担う。様々なジャンルのドラマ、映画に多数出演。原作・脚本・監督を務めた映画作品に『memo』(2008年)、『はるヲうるひと』(2021年)がある。著書に、Twitter投稿に本人のツッコミを掲載した『佐藤二朗なう』(AMG出版)、『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)。8月11日から映画『リボルバー・リリー」が公開予定。

心のおもらし

定価 1,870円(税込)
朝日新聞出版
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次の話を読む「妻は俺に興味を持ってくれない」俳優・佐藤二朗のエッセイ『心のおもらし』“妻似”の息子の反応は?

2023.07.15(土)
文=ゆきどっぐ
撮影=石川啓次
スタイリスト=鬼塚美代子(アンジュ)
ヘアメイク=今野亜季(A.m Lab)