この記事の連載
- 佐藤二朗インタビュー #1
- 佐藤二朗インタビュー #2
『心のおもらし』は、俳優・佐藤二朗さんがAERA dot. (アエラドット)で5年間連載してきたコラムをまとめた書籍。佐藤さんらしい文体と心温まるエピソードが人気です。コラムを書いたきっかけや自身から溢れる、俳優とは別腹の「書く欲求」について伺いました。(インタビュー【後篇】を読む)
中年になると増える「心のお漏らし」
――タイトルの「心のおもらし」には、どういう意味を込めたんですか?
佐藤 心のお漏らしは、思ってることが半ば無意識に言葉として出てしまうこと。書籍にまとめた中に「心のお漏らし」というコラムがあって(311ページ)、編集者の森さんが本を象徴するタイトルとして候補に挙げてくださったんです。
思い当たるおじさん、おばさんも多いんじゃないですか。中年になるとやっぱり独り言が増えるから。「俺もー」「私もー」って、周りからよく聞くもん。みんな、しょっちゅうお漏らししてる。
――会社でお漏らししている方、いますもんね。
佐藤 うん。会社での「心の」お漏らしね。会社でお漏らしと聞くと、本当のお漏らしかと思うからね。
周りの人は誰もレシーブしなくていいのかなって不安に思うんだけど、心のお漏らしはレシーブしてもらおうと思ってサーブしているわけじゃないから。口からパッと出ちゃうんだよね。
――タイトルはひらがなで「おもらし」、コラムは「お漏らし」と漢字でしたけど、意図はあるんですか?
佐藤 森さんから「部首がさんずいで本当に水が漏れている感じがするから、タイトルはひらがなにしませんか」と提案されたんです。本編は漢字で読む面白さもあるから、そのまま残しました。
2023.07.15(土)
文=ゆきどっぐ
撮影=石川啓次
スタイリスト=鬼塚美代子(アンジュ)
ヘアメイク=今野亜季(A.m Lab)