ホテル内にはさまざまな場所に趣向を凝らしたアイデアが散りばめられている
面積7,000平米と広々とした空間ながら、4階建ての低層ホテルとあって、アットホームで落ち着いた雰囲気も漂っています。82室ほどある客室は、すべて3階のワンフロアに連なっています。パリ市内の方角を表す標識など、長い廊下に隠された遊び心も見どころですが、客室には、机に置かれたレターセットや封筒をモチーフにしたラグなど、郵便からインスピレーションを得たユニークなアイデアが満載。
温もりあふれる木目調の家具や大理石、ブロンズ素材で整えられた客室は、フランスの美学サヴォア・フェールが生かされた空間。クラシックな内装に、レザーやベルベット、寄木細工の床がモダンな雰囲気を添えています。壁に飾られているのは、ローラン・タイエブが幼少期を過ごしたクリニャンクールの蚤の市で、彼自ら見つけてきたというメール(郵便)アート。また、彼の友人であるオリヴィエ・マスモンティエルやイネス・ロンジュヴィアル、マリア・ホセ・ベンヴェヌートなど、名だたるアーティストの作品も並び、全部で約800点のアート作品を展示しているのだそうです。
そして、何より客室で印象的なのが、斜めに設計された開放感たっぷりの大きな窓。まるで空に浮かんでいる心地で、日の出から夕焼けまで美しい景色を望むことができます。遠くにエッフェル塔を見つけたり、目前のサントゥスタッシュ教会を眺めたり、部屋の位置によって異なるパリの名所を楽しめるのも魅力。ベッドに寝そべって、日がなパリらしい景観を眺めていたくなります。
また、景色自慢のホテルとあって、見逃せないのが4階のルーフトップ「ルーフ」。空中庭園を囲むように、回廊型のルーフトップガーデンになっています。パリの中心にあるため、「ルーフ」を一周すれば、エッフェル塔からサクレ・クール寺院、工事中のノートルダム聖堂まで見渡すことができます。一般にも解放しており、「スカイバー」が営業をしている夏季は多くのパリジャンで賑わうのだとか。
1階にはジムとサウナ、スパなどのウエルネスゾーンがあり、ヘルシー志向の観光客からも評判です。あれもこれもと足を伸ばすことなく、歴史や文化を感じながら、のんびりと暮らすように過ごす旅もまたよいもの。
クラシックな建築と美しい景色を堪能できる「ホテル マダム レーヴ」は、大人が満足できるパリ滞在を叶えてくれるはず。中編、後編では、パリジャンからも大人気のホテル内のカフェ、レストランを紹介します。
ホテル マダム レーヴ
Column
CREA Traveller
文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。
2023.05.08(月)
文・写真=鈴木桃子