CREA Traveller 2026 冬号は「北イタリア」特集。ミラノを拠点に、冬季五輪の舞台となる山岳リゾートのコルティナや白トリュフとワインの産地ピエモンテ、古き港街ジェノヴァ、ルネサンス期の芸術が凝縮するパドヴァ、マントヴァなど、物語のある街を巡っていく。

CREA Traveller 2026 冬号

ミラノと北イタリアの美しい町々

特別定価 1,650円


 ミラノ生まれのトップファッションメゾンが魅せる文化施設やアートギャラリーは 自社アイテムだけでなく“純粋に美しいもの”を集めたアートやカルチャーを発信。

 それは、ノブリス・オブリージュ(高貴な慈善の精神)を感じる空間だ。


ミラノを愛したアルマーニの足跡

 “モード界の帝王”と呼ばれたデザイナー、ジョルジオ・アルマーニ氏。1975年にブランドを立ち上げ、高級な素材を使用した脱構築的な仕立てと独特のエレガンスのあるコレクションで知られる、世界で最も著名なデザイナーの一人だ。

 実際のところ、イタリア、特に彼が拠点としたミラノにおいて、彼は一デザイナー兼実業家を超えて、まるで神のように一般市民からも尊敬され、愛される特別な存在だった。そして、アルマーニ氏自身もミラノを愛し、街に大きな貢献をしてきた。

 そんな彼が、享年91歳で2025年の9月4日に逝去。街中が彼の死を悲しみ、ミラノ市内にある「アルマーニ / テアトロ」には約1万6000人が、追悼に訪れたという。

 そのそばには「アルマーニ / シーロス」という文化施設が2015年にオープンしている。これは1950年代の穀物倉庫を改装した4階建ての巨大な建物で、展覧会やイベントが行われている。

 1階にはブックショップやカフェ、最上階にはデジタルライブラリーも併設している。

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CREA Traveller 2026年冬号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。