イサム・ノグチの「AKARI スタンド 1AB」
ニューヨーク近代美術館のパーマネントコレクションに名を連ねるライトです。イサム・ノグチが日本の伝統産業である岐阜提灯と出合ったことによって誕生した「AKARI」シリーズは、太陽や月の光を室内に招き入れたがごとき、自然光を思わせる柔らかな照明が特徴。
このシリーズは、数十年かけて数百ものデザインが生み出されましたが、その中で今もなお販売されている定番デザインのひとつがこちらの「AKARI スタンド 1AB」です。
「この家に住み始めたとき、夕方になると窓の外が真っ暗になって、何も見えなくなってしまうことに驚きました。東京では本当の暗闇を体験することはなかなかないのでちょっと怖くなって、家のあちこちにライトを置いたんです。お守りのような感じで。その中でも、このスタンドはお気に入りです。アニメに出てくるキャラクターみたいで、可愛いですよね」
こちらの灯りを点すようになってからは、怖さがだいぶ和らいだというジゼルさん。そう聞いてからあらためて向き合ってみると、イサム・ノグチの見慣れたライトがこの家を守っている番人のように見えてきました。
続いても、ニューヨーク近代美術館のパーマネントコレクションに収蔵されている逸品です。
2023.03.30(木)
文=松山あれい
撮影=平松市聖