うちの子ベストショット①「北海道ポット本州猫四国iPad九州リモコン 別枠沖縄ティー」
――5匹の中から氏ちゃんを選んだ決め手は?
リビングに、まだ自分でトイレも行けないくらいちっちゃい猫がたくさんいて、どうしようかと悩んでたとき、たまたまこっちに向かって歩いてきたのが氏だったので。
けど、最初は大変でしたね。ずっと鳴いてましたし、夜中にミルクをあげたりしないといけなかったので、特に奥さんは寝られなかったと思います。当時はまだ結婚はしてなかったんですけど、一緒に暮らしていたので。
――氏ちゃんの名前の由来は?
大阪にいた時に飼っていた猫の名前が師匠なので、歴代、敬う名前をつけているという感じですね。
――氏ちゃんの前に、一緒に暮らしていた師匠ちゃんについてもよろしければ教えていただけますか?
だいぶ昔のことなんですけど、NSCに入学する年の4月前半、なんば付近に引っ越したので街並みを見ようと思って自転車でぶらぶらしてたんです。
NGK(なんばグランド花月)のすぐ裏手に黒門市場っていうところがあって、その目の前にある信号が赤やったんで止まってたら、ペットショップに目がいって。“あぁ、こんなところにあるんだな”と思って見てたら、店の前に置かれてた「もらってください」って書いてあるカゴの中から、ずっとこっちを見てる猫がいたんですよ。
めちゃくちゃ目が合ってて……あぁ、これはやばい。目逸らしにくいなと思いながら、お互いに一切、目を逸らさなかったんです。
当時は僕も若かったですし、これも何かの縁かなと思って、勢いでリュックに入れて連れて帰ったんです。
うちの子ベストショット②「ニャ段ベッド」
――随分と運命的な出会いだったんですね。
向こうが目を逸らしたら、そして信号が青だったら、僕はそのまま去ってたと思うので、確かにすごい出会いではありましたね。一目惚れとはまた違う、目を逸らしたら負けっていうチキンレースで、お互い目を逸らさずにそのまま近づいていった感じでした。
――師匠ちゃんとの生活はその後どうなるんですか?
それまで猫を飼ったこともなかったですし、何もわからずにもらってきたので、最初は師匠にだいぶ迷惑をかけました。帰ってすぐネットで調べて、家の近くのスーパーでトイレとかいろいろ買って用意したんですけど、トイレに砂を入れるとかシートを敷くとかも知らない状態だったんですよ、僕。
だから、段々と学んでいったんですけど、正直、驚きの連続でしたね。例えば猫が走り回ることを知らなかったですし、急に獣のようになる瞬間もあって。噛まれるとこんなに痛いんだって驚いたりもしました。
けど師匠は懐いてくれて、「猫との暮らしっていいもんだな」と思うようになっていったんですよね。
――大阪から東京へ拠点を移したとき、一緒に上京したんですか。
当時から今の奥さんと一緒に住んでたんですけど、最初、僕1人で上京して、1年くらいは大阪で奥さんと師とで暮らしてました。で、僕が落ち着いた頃、師匠だけ来て、その後、奥さんも来てっていう感じでしたね。けど、亡くなってしまって……12歳くらいだったんですけど、急に体調を崩しちゃったんです。
僕が思ってたよりも早く……もうちょっと一緒にいられると思ってたんですけどね。それからしばらく飼ってなかったんですけど、猫がいる暮らしってやっぱりいいですね。いるのといないのとは全然違うなと思ってます。
2022.12.30(金)
文=高本亜紀
撮影=佐藤 亘
写真=福井俊太郎