うちの子ベストショット③「早く降ろしてくださいニャ」&「満足そうなのはアンタだけニャ」
――具体的に、どんなところがいいですか?
まず、相手にしてもらえないっていうのがいいですよね。で、向こうが機嫌のいいときだけ近づいてくる。ずっと構わなくていい距離感が心地いい。
ただねぇ、氏は全然懐かないんですよ。師匠は懐いてくれて、寝るときは体の上とか首の上に乗ってきたりしてたんですけど。氏はせいぜい足元でお尻を向けて座ってるくらい。抱っこも長時間はダメですし、猫によって性格ってこんなに違うんやと驚きました。
YouTubeで猫ちゃんの動画を観てると、飼い主さんの腕で寝てるとかあるじゃないですか。ほんまに同じ猫か? とびっくりします。
ただ、家に帰ると迎えには来てくれるというか。僕に気づいて下に降りてはくるんですけど、擦りつくとか寄り添うことはないです。
追われるより追う。それが毎日の張りになっているところはあるかもしれない。
――かなりクールなんですね。
けど、そこもかわいいです。寂しいくらいの距離感がちょうどいいというか。
恋愛的なことでいうと、追われるより追うほうがいいみたいなところってあるじゃないですか。その状態が常にあるっていうのが、毎日の張りになっているところはあるかもしれない。
猫と暮らすまでそんなことは一度も思ったことがなかったんですけど、一緒に住むようになってそんなことを感じるようにもなりました。猫って高いところが好きじゃないですか。氏は家の中にあるロフトの縁のところによくいるんですけど、出かけるときはそこを見上げて、手を挙げて挨拶するようにしてますね。まぁ、氏はただ見てるだけですけど。
――ちなみに、奥さんに対してはどういう対応なんですか?
本人はそう言わないですし、こう言うと嫌がると思うんですけど……僕の感覚でいうと懐いてないです。懐いてないというか、奥さんの片想いだと思ってますね。奥さんがいるときは僕にあんまり寄ってこないんですけど、(奥さんが)いないときに寄ってきてくれたり、近づいてふみふみしてくれるときがたまにあって。ただ、奥さんに報告してもまったく信じてくれない。動画を撮って見せても信じたくないからなのか、「そんなわけない」みたいなことをよく言われます。
2022.12.30(金)
文=高本亜紀
撮影=佐藤 亘
写真=福井俊太郎