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断崖に建つ、白亜の灯台
坂道を登り切って山の尾根の平坦地に出ると、前方に白い灯台が見えた。塔の高さは12メートルだが、海に突き出した断崖の上に建てられているので、海面から灯火までの高さは48メートルになる。
灯火にはフレネル式のレンズが使われていて、18海里(約33キロ)の彼方まで照らすことが出来る。点滅の間隔は3秒で、観音埼よりかなり速い。
灯台の下に立つと、目の前に広がる日本海を一望に見渡すことができる。その視野は二百度ちかく、水平線がなだらかな弧を描いていて地球が丸いことを教えてくれる。ここからは登る朝日と沈む夕陽を同日に見ることができるという。
50メートルちかい断崖の上に立つ白い灯台、目の前に広がる広大な海……。この景色はどこかと似ていると思い、しばらくしてポルトガルのロカ岬だと気付いた。
「ここに地果て、海始まる」
そう謡われたユーラシア大陸最西端のロカ岬は、大航海時代に世界の海に乗り出していった船乗りたちの心のふるさとになった。
岬に立って広大な海をながめると、彼らの勇気と覚悟が伝わってくる気がしたものだが、禄剛崎の景色もそれと似た感覚を呼び覚ましてくれる。
ここは日本海の中心であり、遠い大陸への玄関口である。古代の人たちもそう感じていたからこそ、須須神社に日本海の守護神を祀ったのである。
禄剛埼灯台
所在地 石川県珠洲市狼煙町イ-51
アクセス 金沢駅西口から珠洲特急バスに乗車し「すずなり館前」下車。「すずなり館前」からすずバス狼煙飯田ルートに乗り換え、「狼煙」下車、徒歩10分。車の場合は、のと里山空港から車で70分。
灯台の高さ 12m
灯りの高さ※ 48m
初点灯 明治16年
https://toudai.uminohi.jp/toudai/rokkouzaki/
※灯りの高さとは、平均海面から灯りまでの高さ。
海と灯台プロジェクト
「灯台」を中心に地域の海と記憶を掘り起こし、地域と地域、日本と世界をつなぎ、これまでにはない異分野・異業種との連携も含めて、新しい海洋体験を創造していく事業で、「日本財団 海と日本プロジェクト」の一環として実施しています。
https://toudai.uminohi.jp/
海と灯台学
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文藝春秋
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灯台は日本と世界の接点にあり、江戸末期以来の日本の近代化を見守り続けてきた象徴的な存在。その技術、歴史、そして人との関わりはまさに文化遺産です。四方を海に囲まれた日本ならではの灯台の歴史と文化を、これまでも様々な海洋課題に取り組んできた日本財団が編纂しました。美しい写真とともに、日本近代の浪漫を楽しんでください。
【出典】
オール讀物 2022年 11 月号(「小説家」になる!&秋の「読切」ミステリー祭)
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その土地の物語を読み解く
“灯台巡り”の旅へ
2022.11.24(木)
文=安部龍太郎
撮影=橋本 篤
出典=「オール讀物」11月号
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