夕食は猪肉や珍しい穴熊肉など野山の恵みを堪能するご当地料理
夕食は、プライベートを保てる半個室のある食事処で。ご当地の食文化を活かした、野山の恵みを堪能できる特別会席をいただきます。
先付けは、その地域で親しまれている素材を使いながら、意外性のある組み合わせや新たな調理法で楽しませるのが「界」の習わし。こちら「界 由布院」で登場するのは、「猪と椎茸の最中パテ」です。小鹿田焼(おんたやき)の器で供されるそれを指でつまんでパクッと頬張ると、まさに野山の恵みといった滋味。付け合わせは、大分に自生するヤソゼリのサラダ。猪の生ハムがアクセントとなり、名物のかぼすを使ったドレッシングが口の中をさっぱりとさせてくれます。
その後に登場する「宝楽盛り」は、大分名産の竹をモチーフにした器とともに、酢の物、八寸、お造りを盛り合わせたもの。何から食べようか迷ってしまうのも、また楽しいひとときです。
メインの台の物は、旨み豊かなスッポン出汁に、牛肉、猪肉、鹿肉、穴熊肉(!)をくぐらせていただく「山のももんじ鍋」。引き出し式の器に美しく盛られた薄造り肉は、艶めかしく食欲をそそり、思わず喉がなります。
ジビエのなかでも、とりわけ珍しく、専門店でも滅多にお目にかかれないのが、穴熊。熟成したチーズのような旨みと甘みのある脂が背徳的とも言える美味しさで、さっぱりとした「かぼすおろし」が、好相性。その他の肉も、それぞれの個性を引き立てるたれでいただきます。
2022.09.05(月)
文=伊藤由起
写真=橋本篤