由布院は、歩いて周れるコンパクトな街。拠点を決めてそぞろ歩きを。

 歴史と利便性が交差するこの街で、プチ移住気分の夏。

 観光スポットはあえて避けて。住民の気分になって“ケ”の街の顔を巡るとどんどん見えてきた、ほんとうの由布院らしさ。ゆっくりのんびり由布院を堪能するのにぴったりのスポット7選をご紹介。

» 由布院の宿巡りはこちら
» #1 由布市ツーリスト インフォメーションセンター~YUFUiNFO
» #2 COMICO ART MUSEUM YUFUIN
» #3 こちょぱん
» #4 西国土産鍵屋
» #5 湯布院 串焼き CARNE
» #6 CARANDONEL
» #7 由布院アートホール


実は由布院はふだん着の温泉地

 仕事道具一式と文庫本、何枚かのTシャツとワンピースだけ詰めてふらっと出かける、軽い手荷物の夏旅。その行き先として由布院がおあつらえだなんて、てんでイメージできなかった。

 思い浮かぶのは、観光、高級、非日常と三拍子揃う、言わずと知れたブランド温泉地。ただ人がそうであるように、街も見えている顔だけじゃない。「温泉場なんだから、リラックスしに来るわけでしょ。だから緊張感なんて、なくていいんです」と言うのは「湯倫舎」の湯守、堀江さん。

 もともとここは、別府をレジャー観光地にした実業家の油屋熊八が、ひっそり保養のために使った別荘地。華美や過剰をかわし続けた歴史をひもとけば、さもありなんことにも思える。

 また由布院が「暮らすように旅する」のにぴったりな理由として、適度に街が栄えていることも挙げられる。グロサリーにパン屋さん、食堂や居酒屋まで日常使いできる店は事欠かず、宿を素泊まりにし、合間の気晴らしがてら立ち寄るのもいいだろう。さらに仕事や作業をしたり、いわゆる観光ではなくゆったり静かに思いに耽るスポットも、しかと用意されている。

 のびのびと仕事をした後は、ゆるゆると温泉でセルフリペア。そんな日々が繰り返される、いちばん着馴染みのいい旅のかたち。

●湯冷ましつぶやき

「湯布院」は1955年に由布院町と湯平町が合併して誕生。厳密には湯平町を含む場合は湯布院、含まない場合は由布院となるため、表記の違いが生じるのはその理由から。

2022.08.07(日)
Text=Mitsuharu Yamamura
Photographs=Tsugumi Meno

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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