人生の進路を決めた、成田さんの17歳について

――「エイリアンズ」という曲についてはどんな印象をお持ちですか?

 10代のころから聴いていて、いい曲だなと思っていたけれど、歌詞の意味を考えたことはなかったです。今回は歌う場面もあったので、改めて歌詞の意味を考えながら聴きました。諦めと孤独を感じますね。それでもそっと寄り添ってくれるような。

 とても優しい歌声、メロディーだけれど、実はすごく尖ったメッセージ性があるんじゃないかという気もしています。堀込泰行さんにどんな気持ちで書かれたのか、聞いてみたいです。

――成田さんご自身は17歳のときはどんな少年でしたか?

 何も考えてなかったですね。友人と文化祭やイベント事に全力で取り組みながら楽しんでいました。

――スカウトされて、モデルや俳優の世界に入るまでは、美容師を目指しておられたんですよね?

 美容師になると決めたのが17歳くらいですね。でも、もしも当時、教室で先生が「エイリアンズ」を流しても、僕は何も受け取れなかっただろうと思います。燃え殻さんはそれを感じ取れる方だったんですよね。

――燃え殻さんとは何かお話をされましたか?

 この作品ではお会いできなかったのですが、去年、燃え殻さん原作の朗読劇『湯布院奇行』をやらせていただいたときにお会いしました。とても素敵な方でした。素敵すぎて、もっとお話ししてみたいと思いました。

 燃え殻さんは、一体何人分の人生を生きているのだろう? と思うような経験をされています。普通は、いろんなことを忘れながら生きてしまうけれど、それを覚えているというのが彼のすごいところです。エピソードの宝庫でした。

――このドラマは、1話ごとに同級生のいろんな人生が描かれますが、共感したエピソードはありましたか?

 第2話で伊藤沙莉さん演じる前田ゆかが地元に帰ります。そのときの地元の温もりのようなものは自分も感じるなと思いました。

 実際、帰るときは、そんなことは忘れているんだけど、「帰る場所がある」というのは人生において、めちゃくちゃ強いことなんだなと思いました。帰るところがあるからこそ、ある種、自分も好き勝手に生きられる。

 お母さん役のふせえりさんも本当に素敵でしたね。何も話さなくても、その懐に飛び込みたくなるような温かさがあふれていました。

2022.05.20(金)
文=黒瀬朋子
撮影=深野未季