怖いもの知らずの姿勢で突き進み繊細な演技、ハートフルな歌で人々を魅了する。

 軽やかに才能を花開かせる松下洸平の素顔とは。

 CREA WEBでは、CREA2022年春号に掲載中のインタビューを大公開します!


座長としての覚悟はあるけど、気負いはない

 共振力の高さなのだろうか。繊細に感情を震わせ、その人物の気持ちや痛みが観る者に強く迫ってくる。そんな演技で多くの人を魅了する俳優の松下洸平さん。NHK連続テレビ小説「スカーレット」の八郎や金曜ドラマ「最愛」の大輝など、役ごとに熱烈なファンを増やしていった。

 3月には音楽劇『夜来香ラプソディ』で主役を務める。第二次世界大戦末期、様々な文化が交差した上海の共同租界が舞台。「蘇州夜曲」や「別れのブルース」などの名曲を生み、日本の歌謡界に多大な影響を与えた作曲家の服部良一を演じる。

「音楽によって混沌とした時代の“壁”を越えようとした人たちの物語です。服部さんは“音楽ファースト”の方だったようで、生きていくためには? というよりもどうしたらいい音楽が作れるかを常に考えていらした。前向きで優しいオーラを放っておられた方だったみたいです」

 本作は所属事務所の創立25周年記念公演で、生バンドによる演奏もある大舞台。稽古場では“座長”としての佇まいなど、気負いがあるのかと尋ねてみたら、意外にも「ない」と返答した。

「もちろん責任はあると思っています。でも、舞台の現場では“座長だから”というのはなく、みなさんと一緒になって悩みたいです。今回は、山西惇さんや山内圭哉さんなど、昔から僕をよく知る先輩方もいらっしゃいます。変わらず『洸平くんはアホやなー』と思っていただきたいです(笑)」

2022.04.18(月)
Text=Tomoko Kurose
Photographs=Erina Fujiwara
Styling=Tatsuhiko Marumoto(UNFORM)
Hair & Make-up=KUBOKI(Three PEACE)

CREA 2022年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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