42歳の誕生日に、主演映画が公開

 大勢の若手俳優が出演し、大ヒットしたドラマ「ROOKIES」(2008年)。当時28歳だった桐谷健太さんは、遅れてきたルーキーとして一気に注目の存在となった。

 その後はシリアスもコメディもできる俳優として、テレビドラマや映画、舞台作品などで引く手あまたに。そして浦島太郎役が印象的なコマーシャルとリンクする形で「海の声」をリリースし、2016年には紅白歌合戦への出場も果たす。

 スターの条件が「老若男女の誰もが知っている人」だとしたら、親しみやすさも兼ね備えている桐谷さんは、間違いなく大スターの1人だろう。

 そんな桐谷さんの42歳の誕生日に、主演映画『ミラクルシティコザ』が公開される。70年代の沖縄・コザを舞台にした本作で、桐谷さんは伝説のロックンローラー、ハルを演じる。

 インディペンデント映画らしい熱量とメッセージがダイレクトに伝わってくる本作を入り口に、桐谷健太がスターとして輝き続ける理由に迫る。

オファーを受けたとき、ちょうど海辺にいた

――『ミラクルシティコザ』は、沖縄在住の平一紘監督とキャストの中に、桐谷さんが飛び込む形で制作されたインディペンデント映画です。桐谷さんは、どのように出演作品を決めているのでしょう?

 すべて事務所にお任せしています。今回で言うと、事務所から「こういう映画のオファーが来ていて、受けたいと思ってる」という電話があったときに、ちょうど海辺にいたんですよ。もともと沖縄が好きですし、シチュエーションと相まってよけいに「なんかええ感じやなぁ」と思って、「やりましょう」と返事しました。ホン(脚本)も読んでないのに(笑)。

――事務所への信頼を感じます。いざ企画が動き始めてから、自分にとってのやりがいや面白さはどんな部分にありましたか?

 監督がホンを書いているんですけど、まず、第何稿みたいな状態のペラを見せていただいて、発想や切り口、ストーリーの流れが面白いなと思いましたし、監督の沖縄への思いを感じました。

 でも自分のなかで、「もっとここがこうなったらいいんじゃなかろうか」というものはあって。監督も「なんでも言ってください!」という感じだったので、自分が思うことを箇条書きにして送ったら、監督が「ほんっとありがとうございます。これを踏まえてまた書き直します」と。

 で、また送ってくださったホンを読んで、「なるほど。でもここはこうですよね」とディスカッションを重ねていきました。ただ、あまりにもそのやりとりが続いたので、「いや頼りにしてくれるのは嬉しいねんけど、もうちょっと固まってから送ってください(笑)」と言ってしまいました。監督にその感じで言えた関係性も面白かったです。

 そうやって準備稿、決定稿を作って、現場でもアイデアを出し合って変わっていって。こんな風にずっと話し合いながら共に作り上げることはあまりないので、そこが面白かったかもしれないです。

2022.02.04(金)
文=須永貴子
撮影=今井知佑
ヘアメイク=石崎達也
スタイリスト=岡井雄介