「そんなん俺がおらんときに聞いてよ恥ずかしい……」

――桐谷さんは監督と初対面だったそうですが、監督が桐谷さんにオファーした理由などは聞きましたか?

 撮影が終わってから監督と一緒にインタビューを受けたときに、「なぜ桐谷さんにオファーしたんですか?」という質問への答えを横で聞いてて。「そんなん俺がおらんときに聞いてよ恥ずかしい……」と思いましたけど(笑)。

 コメディができて、シリアスにも振り切れて、そして音楽シーンがあるとなったときに、俺しかいないとなったって言ってくださってました……っていうのを俺がここで自分で言うという、恥ずかしさ(笑)。

――言わせてしまってすみません(笑)。

 あとなんか……カリスマ性? もあるとか言うてたな。うん、言うてた言うてた。

――(笑)。

 それはまあ一旦置いといて、監督はすごく情熱的で、思いが伝わってくる人です。

 オファーを受けてから、クランクインがコロナでどんどん延期になってしまったんです。俺自身も「あれ、これ、どうなんのやろ。そのうちにいろいろ(撮影などが)重なっちゃったりすんのかな」と不安になってきて。あの頃、先がどうなるのか誰もわからなかったじゃないですか。

 で、どうやら監督も、沖縄におる出演者の若い子らも、「桐谷健太、マジで来られんの? 断られるんちゃうん?」みたいな感じで不安になってたらしいんですよ。そこで、自分たちでYouTubeの動画を作って、俺に送ってくれたんです。俺だけのために。

――非公開動画ですか?

 だから再生回数2回とか(笑)。全部で3本くらい送ってくれました。1本目は監督と、翔太役のリュウト(津波竜斗さん)の2人でコザを案内する動画でした。わざわざテロップまでつけてくれて。そういうところが可愛らしいやないですか。嬉しいし。そういう風に、思いがどんどん伝わってきて、現場に入ってからもずっと楽しかったですね。

――現場で、特に楽しいなと感じたことは?

 誰にも何も気を使わずに、みんなを楽しませてオッケーなので、それがすごく楽しくて。自分は人前で何かをするのが好きやから、そこを思う存分できました。「主演て、ええなあ~」と思いました(笑)。

 みんなが同じ方向を向いて、良い作品を作ろうという一体感があったから、すごく幸せな時間でしたね。これからの自分にとって栄養になったというか、血となり肉となった感じがすごくあります。

――音楽映画でもある本作で、桐谷さんはラップ、ギターの弾き語り、英語曲の歌唱など、タイプの違うパフォーマンスを披露しています。

 英語の歌は、新たな挑戦でした。歌という大枠のなかには入ってますけども。しかもラップ以外のシーンは、同時録音なんですよ。

――そうだったんですか!

 ラップは別途レコーディングしたんですけど、ほかは臨場感を大事にしたいということで、その場の生の音を録ってるんです。緊張感もあって面白かったです。

2022.02.04(金)
文=須永貴子
撮影=今井知佑
ヘアメイク=石崎達也
スタイリスト=岡井雄介