自分の選択に「責任を持ちたい」

 端整な顔立ちと清潔感のある佇まい。そのイメージを裏切る振り幅の大きい芝居で注目を集めている町田啓太さん。

 俳優デビューして12年目となるけれど、高校時代にはパイロット、大学時代にはダンスに打ち込んでいた過去が。本人が「はちゃめちゃですね」と笑うように、一本道を真っ直ぐに歩んできたわけではない。

 「10代のころはいろんなことに興味が移りやすかったんです。それに、変わっていくことが気持ちいいと思っていたし、面白いとも思っていた。だからその時の興味に従って、素直に選択することができていたんだと思います」

 ただし、選択に「責任を持ちたい」という思いは常にあった。

 「それは“自分にとって恥ずかしくない選択かどうか”ということ。日本人の多くは周りに迷惑をかけてはいけないと教えられますが、他人の目を気にして選んだ道だったら結局後悔していたはず。

 もちろんダメだったなと後から思う選択はあるし、反省することもたくさんある。でも、自分に正直に従っていた方がハッピーだと思うんです。辿り着いた現在地に、後悔はありません」

 人生の分岐点で決断を下すのは自分自身。だけど、その選択がどのような広がりを見せるかは、予測がつかないことでもある。

 「そこが面白さですよね。今は俳優という道を夢中で走っている最中だけど、どんな人と出合えるか、どんな作品に出会えるかは分からないじゃないですか。思いもよらないことが起こることが面白いし、それによって自分がどう変わっていくかを楽しんでいます」

2022.04.27(水)
Text=Kozue Matsuyama
Photographs=Osamu Yokonami
Styling=Eiji Ishikawa(Tablerockstudio)
Hair & make-up=KOHEY

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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