音を楽しむ天才たち

 落ち着こう私。25周年があったなら35周年(2025年)ツアーもあるかもしれない。それを待てばいい。そして今は、それぞれ3人の活躍を応援すればいいではないか。

 幸運にも、3人とも現役でご活躍だ。ベースの竹下欣伸さんは、松下奈緒さんや戸田恵子さんなど、多くのコンサートに参加。

 キーボードの斉藤恒芳さんは宝塚歌劇の音楽を手掛け、1999年には文化庁芸術祭優秀賞を受賞。現在はアニメ「かげきしょうじょ!!」の音楽を担当されている。

 葉加瀬太郎さんについてはもう言わずもがな。代表曲「情熱大陸」は、全人類の心が浮き立つメロディーとして、無形文化財に指定されるのも時間の問題だと私は踏んでいる。

 私も一度葉加瀬さんのコンサートを見に行ったことがある。彼は「情熱大陸」を演奏するだけでなく、扇子を持ち、そりゃもう楽しそうに踊っておられて驚いた。音楽の天才、というだけではなく、体中で楽しむ天才。音も姿も本当に眩しかった。

 聴けば何かがポンッと弾け、そこからマグマのように感情が溢れてくる。そして自分のなかでコマゴマ作ってしまっていた垣根が根こそぎ抜けていく。

 クライズラー&カンパニーの音楽は、決してノスタルジーで終わらない。

 頭の中に広がる、音楽の大地と海。美しいニューワールドがそこにある!

田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡出る単1008語』(誠文堂新光社)など。
●田中稲note https://note.com/ine_tanaka/

Column

田中稲の勝手に再ブーム

80~90年代というエンタメの黄金時代、ピカピカに輝いていた、あの人、あのドラマ、あのマンガ。これらを青春の思い出で終わらせていませんか? いえいえ、実はまだそのブームは「夢の途中」! 時の流れを味方につけ、新しい魅力を備えた熟成エンタを勝手にロックオンし、紹介します。

2021.12.15(水)
文=田中 稲