巧妙に張り巡らされた伏線やサブリミナル効果をどう読み解く?
『ファイト・クラブ』
「初めて見たときは“どんでん返し”ではなく、物語が進むにつれ、じわじわと滲み出てくるような真実へのつなぎ方に衝撃を受けました。エドワード・ノートンの怪演も見どころ。中でも、ノートン演じる主人公“僕”が上司のオフィスで自分を殴るシーン。血のドス黒さが目に焼きついて忘れられません」(MELRAWさん)
ブラッド・ピット×エドワード・ノートン×デイビッド・フィンチャー監督が放つ、常識や価値観を破壊するエンターテインメントの傑作。謎の多いエンディングも、ネタを知ったうえで見返すと、さらなる伏線に気づかされるという巧妙さ。人間の欲望と病魔を、消費社会を象徴するサブリミナル効果を駆使して描いている、実験性の高い作品。
●あらすじ●
保険会社に勤める“僕”は、数カ月間不眠症に悩まされていた。彼の空虚な生活は、謎の男タイラーと出会ってから一変する。自宅が火事になった“僕”は、仕方なくタイラーの家へ居候することに。やがて「お互いに殴り合う」というファイト目当ての男たちが集いあい、秘密組織“ファイト・クラブ”がつくられる。
『ファイト・クラブ』
監督:デイビッド・フィンチャー
出演:エドワード・ノートン、ブラッド・ピット、ヘレナ・ボナム・カーターほか
1999年/アメリカ/139分
© 2014 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.
Blu-ray 2,096円(税込)/デジタル配信中
発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン
映画を愛するレコメンダー
吉開菜央(よしがい・なお)さん
映画作家・ダンサー・振付家。写真家の石川直樹とタッグを組み、監督、出演した映画『Shari』が渋谷ユーロスペースほかで上映中。
菅原敬太(すがわら・けいた)さん
イベントクリエイター。服と甘味を求める“ファッショニスタ”で、“カンミニスタ”でもある。文化服装学院 非常勤講師も務める。http://www.synchronicity.jp/
青野賢一(あおの・けんいち)さん
ライター、DJ、選曲家など。ファッション、音楽、映画、文学、美術などを論ずるライターとしても幅広く活動中。
MELRAW(めるろう)さん
ミュージシャン。ジャンルを超えてシーンをつなぐマルチプレイヤー。映画『ゾッキ』の音楽プロデュースも手がける。最新シングル「With You」配信中。
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2021.11.07(日)
文=大嶋律子(Giraffe)
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