デビューから10年。今市隆二が語る仕事と私生活

 夕刻の光を頬に受け、今市隆二さんの端正な陰影がくっきりと浮かび上がった。シャープで凛々しい輪郭に、甘やかな雰囲気が彩る瞳。

 三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのヴォーカリストとしてデビューしてから、10年という歳月が過ぎた。

 多くの功績を築き、たくさんの人々に愛される楽曲を歌ってきた経験を糧に、ネクストステージでは何を見つめているのだろうか。

 充実のときを迎えた今について、CREA WEBでは初登場となる今市さんにロングインタビューを実施した。

 前編と後編でお届けする本稿では、2021年7月21日(水)に発売されるソロ・アルバム『CHAOS CITY』制作背景について、また、現在発売中のCREA本誌の特集「ちょっとだけアウトドア」に合わせ、今市さんのアウトドア&意外なインドア事情や、秘めたるプライベートなども語ってもらった。(全2回の1回目。後編へ続く)


新曲制作の舞台裏「会いたい人と会えなくなった」

――『CHAOS CITY』の発売、おめでとうございます。今市さんの歌唱における新たな扉が開かれた印象を受けました。制作の経緯から聞かせてもらえますか?

 ありがとうございます。曲を作り始めたのは、2020年、最初の緊急事態宣言が発令されていたときでした。「こういう状況でも、できることをやらなきゃ」と思って、リモートでセッションしながら曲を作っていったのが始まりでしたね。次にソロをやるときにはイメージを一新したいな、とも思っていたので、テーマなどをいろいろ考えていきました。

――テーマは「80's」、タイトルが『CHAOS CITY』ということになります。

 『CHAOS CITY』はアルバムタイトルでもあるんですけど、ひとつの場所というか、架空の都市を作って、その“CHAOS CITY”を舞台に曲やストーリーを展開していく、というコンセプトなんです。そうした発信のほうが、エンタメ的にもワクワクするかなと思って組み立てました。

 長期のプロジェクトとして捉えていて、“CHAOS CITY”を大テーマとして掲げて、今後何年か、ソロ活動をしていこうかなと思っています。

――アルバムには、Bonus Trackも含め、全9曲が収録されています。多くの中から絞ったのか、1曲ずつ仕上げていったのか、どのような編成意図でしょうか?

 数多くを作ったわけではありません。最初の緊急事態宣言中に作った曲……『Talkin' bout love』が、そうなんですけど。そういう曲は、アーティストとしては発信していかなきゃという思いがあったので、その曲を中心に数曲入れたりして。

 あとは空山(基)さんとのコラボの話から、どんどん形づけられていく中で選んだ曲もあったりしました。

 『Talkin' bout love』については、当たり前だと思っていたものが当たり前じゃなくなって、会いたい人と会えなくなったりしたので、そのときに感じたことをリアルな気持ちで歌いました。当たり前ということの素晴らしさを歌詞に込めたりしたので、すごくリアルに感じてもらえると思っています。

2021.07.20(火)
文=赤山恭子
撮影=佐藤 亘
スタイリスト=渡辺康裕