いま一番やりたい音楽が「80's」だった

――テーマの「80's」についても伺いたく。今市さんのラジオ番組『SPARK』(J-WAVE)の人気コーナー『RYUJI'S FAVORITE ALBUM』を聴いている限り、80'sやR&Bの枠に留まらず、多種多様なジャンルを紹介していますよね。そんな今市さんにとって、「80's」はどんな位置づけなのか、気になりました。

 自分がラジオをやって、もう7年ぐらい経ちます。結構長くなっていて。もともと、音楽を聴くジャンルも結構偏っていたんです。R&Bが好きだし、ヴォーカリストなので、やっぱりバラードが好きだったりして。けど、ラジオのおかげで本当に幅広く、ジャンル問わず、何でも興味を持って聴けるようになっていきました。

 その中で「80's」は世界的にトレンドというのもありますけど、プラス、日本でがっつりやっている人もいないのかなと思いましたし、自分がいま一番やりたい音楽でした。

 「80's」で一番いいなと思ったのが、自分より上の世代の方には「懐かしい」と思ってもらえるサウンドだし、自分より若い子たちには「新しい」と思ってもらえるサウンドだった。音楽を作る側として、当然、多くの方に届けたい思いがあるから「今やるべきだな」と感じたんです。

――どの世代もターゲットに入る、今のこのタイミングだったんですね。

 そうですね。自分の親も聴いてくれたみたいで、「すごく懐かしい!」と言っていて。「やっぱそう?」って話しましたね。

 自分も80年代生まれですし、「80's」をいろいろ調べていくと、小さいときにテレビで聴いていた音楽をこの人がやってたんだという発見もありましたし。

 HIROさんはリアルに80年代を生きた人なので、お話を聞くと、めちゃくちゃ煌びやかで魅力しかないな、と思ったりもして。自分も「80's」がどんどん好きになった感じでした。

――「80's」にちなんで、例えばリード曲『FUTURE LOVERS』だったら、こんなシチュエーションで聴きたいなど、思いつく場面はありますか?

 場所かあ……。「80's」で考えると、「エアロビクス」というキーワードがあるんですよね。「エアロビクス」とは言わなくても、例えばジムとか、おうち時間で身体を動かすときに、『FUTURE LOVERS』を聴いたりしたら「絶対合うな!」と思いますね。テンションも上がるだろうし。

 BPM(Beats Per Minute=1分間の拍数)が結構速かったりするので、それに合わせて筋トレをしてもらったらいいんじゃないかな?

――やってみます! 『FUTURE LOVERS』の楽曲秘話というと、何かありますか?

 「80's」をテーマにやる中で、思いついたことのひとつが、シンボルになっている「セクシーロボット」でした。

 もともと2~3年前くらいから、アート方面の方と知り合うきっかけがあって、中でも衝撃を受けたのが、空山さんの「セクシーロボット」だったんです。

 『CHAOS CITY』が「セクシーロボット」と一緒にできたら「相当イメージが合うかもしれない」と思って曲を作ったのが、実は『FUTURE LOVERS』です。

 曲を作っていた段階では、空山さんとコラボレーションできるか全然わからなかったんですよ。曲ができて、お声がけさせていただいて、結果実現できたので、本当によかったです。

2021.07.20(火)
文=赤山恭子
撮影=佐藤 亘
スタイリスト=渡辺康裕