興味あることは沢山あるけど、「To Do List」じゃ重すぎる、スローなウィークエンドにしてほしい。そんなあなたのために、ゆるーい週末の過ごし方ガイドをCREA編集部が5つピックアップしてみました。

 もちろん、今週末は部屋でゆっくり寝て過ごしちゃう、なんてのもOK。だって、週末はまた来週もやってくるんだから。

 今週の「週末何しよう?」は特別編。緊急事態宣言が続き出かけることもままならない今、せっかくだから本でもゆっくり読んでみませんか? 今回紹介する5冊の本は読むことで新たな世界への扉を開いてくれる危険な本たち。週末どころか、一生楽しめるぐらいのインパクトです。


①「プルーストを読んでいると楽しいです。そんだけ!」

 「プルーストを読んでどうなるというのですか? プルーストを読んでいると楽しいです。そんだけ!」という帯文と、一文目の「先々週の金曜日にプルーストを買って、毎日だらだらだらだらだら読んでいる。行きつもどりつ一日に二十ページも進まない。すごく楽しい。」という文章に惹かれて、購入した一冊。

 著者の柿内正午さんの楽しい日常を覗き見して、私もその「楽しい」をほんの少しでもふれさせてもらえたら、という軽い気持ちで読み進めたのですが、まぁびっくりするくらいに楽しい。

 プルーストの『失われたときを求めて』を読むことだけでなく、柿内さんが日々考えたこと、不安に思ったこと、他に読んだ本、柿内さんの奥さんが好きなコント、奥さんを「大愛妻」と呼んでいることなどが、心地よい文章で綴られています。読んでいて心地よい文章って本当にあるんですね。私もいつか大愛妻って、呼ばれてみたい!

『プルーストを読む生活』

柿内正午著
H.A.B 3,245円

②この文章を本で読める幸せを噛みしめる

 先日、『旅する練習』で三島由紀夫賞を受賞した乗代雄介さん。乗代雄介さんの作品はどれも最高なので、「こんなページを読む暇あったら、今すぐにでも乗代さんの作品を読んでくれ!」という気持ちでいっぱいなのですが、それだとこの連載の体をなさないので、いつでも手に取れるように、部屋の本棚の一番目立つところに置いている『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』について紹介します。

 この本は乗代さんが15年以上にわたり、書き続けたブログを全面改稿のうえ書籍化したもので、約600編におよぶ作品の中から著者自ら選んだ67編と、長編エッセイ、描き下ろし小説「虫麻呂雑記」が収録されています。

 ずっと読んでいた(今ももちろん読んでいる)ブログが、このように本になってページをめくりながら読めるという事実だけでも、胸にくるものがあるというのは大げさかもしれないけれど、小説のタイトル(「クニヒコの初日」「マセてないガキから退場」「柔道部(いきものがかり)など)が並んだ目次を読んでいるだけでもなんだか嬉しい気持ちになってくるのは、本当。あの話は載ってないんだ、なんでだろ?とか、あの芸能人の話はブログ読者だけしか読めない秘密かな、なんて考えながら読んでいると、大げさなんかじゃなくて、やっぱり胸にくるものがありますね。

 ちなみに私は「走れメロス、食べろ耕作、なんでもいい方に考えろ由美子」、「時速一二〇キロの狭間でアリの生態」がお気に入りです。

『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』

乗代雄介著
国書刊行会 3,630円

2021.05.20(木)
文=CREA編集部