③担当編集者さんに足を向けて寝られません
大学生から社会人2年目くらいまで、劇場やレンタルビデオ店にせっせと足を運んでは、ひたすら日活ロマンポルノ(1971年から1988年にかけて日活で制作・配給されていた日本の成人映画)を観ている時期がありました。きっかけはなんだったか忘れてしまいましたが、岡崎京子の漫画『私は貴方のオモチャなの』に出てくる空知くんというキャラクターがロマンポルノ好きだったからかも(好きになる理由なんてそんなもんですよね)。
「裸さえ出てくればどんなストーリーでも、何も言われず自由に制作できた」というエピソードが残っているように、ひとことで日活ロマンポルノといっても作風も様々。私が一番心惹かれたのが、人間の官能を追い続けた神代辰巳監督の作品でした。
「好きな監督のことをもっと知りたい! 映像だけでなく神代辰巳を文章でも摂取したい!」という私の思いにありったけの力でこたえてくれたのが、この701ページからなるとんでもなく分厚い本『映画監督 神代辰巳』です。監督のエッセイはもちろん、神代組の女優たちが語る監督の魅力や作品ごとの批評、当時の記事など、考えられうる全ての情報が掲載されているという、はっきり言ってどうかしている充実度。
同僚に貸したいけれど、重すぎて会社に持っていけないという物理的なボリュームも含めて、愛している本です。
『映画監督 神代辰巳』
神代辰巳著
国書刊行会 13,200円
④好きなものを教え合うってこんなに楽しい
東京に暮らす平松洋子さんと、京都に暮らす姜尚美さんが、自分の街の遺したい味について教え合う、往復書簡。
自分も好きだったり、いつか行ってみたいと恋い焦がれていたお店について書かれている文章を読むと「うー! 今すぐ、編集部から抜け出して駆けつけたい!」と思わずにはいられません。
でもこの本の魅力はそれだけではなく、「自分の好きなものを人にプレゼンするって最高だよね!」と、語りかけてきてくれるところにもあります。おいしいもの、おもしろいもの、好きな音楽、好きな本。考えるだけで幸せになるものってありますよね。それを友人に紹介しているときの多幸感に改めて気づかせてくれるんです。
友人におすすめするとしたらどの店がいいかな、なんて考えながら読むのも楽しいですよ。私だったら「餃子の満州」かな。
『遺したい味 私の東京、わたしの京都』
平松洋子 姜尚美著
淡交社 1,980円
⑤間違いなく、一番再読している本
毎日5時に起きて、子どものお弁当を作る日々を送っています。これだけ聞くと早朝から子どものためにせっせと動く、「いい」お母さんのようイメージを持たれるかもしれませんが、決してそんなことはありません。映画も観たいし、ラジオを聞きたいし、本も読みたいし、恋愛だってしたいし、(コロナが落ち着いたら)朝まで飲みたいし、仕事だってちょっとはあるし、って感じで育児にあまり時間をかけれてないのです……。ごめん、子どもたち!
「せめてお弁当だけは!」と、執念のような気持ちで、お弁当を作り続けている私を支えてくれるのが、この『3歳からのおべんとう』。お弁当本は、私営の図書館が作れるのでは?というくらい買い漁りましたが、結果、この本に戻ってきてしまう私にとってお守りのような存在です。時短を追い求めることもなく、かといって見た目の華やかさにこだわることもなく、本当にちょうどいいんです。作る方にとっても、食べる方にとっても、気をはらないお弁当が作れます。ちょうどいいって正義です。
『好き嫌いをなくしちゃおーッ! 3歳からのおべんとう』
上田淳子著
文化出版局 1,540円
Column
週末何しよう? 過ごし方5選
興味あることは沢山あるけど、「To Do List」じゃ重すぎる、スローなウィークエンドにしてほしい。そんなあなたのために、ゆるーい週末の過ごし方ガイドをCREA編集部が5つピックアップしてみました。
もちろん、今週末は部屋でゆっくり寝て過ごしちゃう、なんてのもOK。だって、週末はまた来週もやってくるんだから。
2021.05.20(木)
文=CREA編集部