興味あることは沢山あるけど、「To Do List」じゃ重すぎる、スローなウィークエンドにしてほしい。そんなあなたのために、ゆるーい週末の過ごし方ガイドをCREA編集部が5つピックアップしてみました。

 もちろん、今週末は部屋でゆっくり寝て過ごしちゃう、なんてのもOK。だって、週末はまた来週もやってくるんだから。


①映画『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』

 公の場に一切登場しない、撮影・対面インタビューにも応じない。型破りでエレガント、今も大きな影響力を持つ天才デザイナー、マルタン・マルジェラがついにカメラの前で語ったドキュメンタリー映画。
 
 「メゾン マルタン マルジェラ」のことをはじめて認識したのは、中高生のとき。町田康さんのエッセイで、確か「豚足のようなブーツ」として登場し、「豚足のようなブーツって一体……?」と、調べたことがきっかけです。

 近所の小さな書店でその豚足のようなブーツや、コレクションのルックをはじめてみた衝撃ったら。もちろん学生のときにはそんな高価なアイテムは買えないので、指をくわえて見ているだけでしたが、財布に帰りの交通費しか入ってないのに恵比寿にあるフラッグショップにはよく通ったものです。迷惑すぎる客ですね。店員さん、ごめんなさい。

 マルジェラの声を聴いた瞬間、はじめて足袋ブーツを見たときの驚き、恵比寿の店に勇気を出して訪れた時の緊張感、何度も何度も雑誌を眺めては憧れのアイテムを切り抜いてノートに貼り付けていた時の気持ちがよみがえってきて、映画開始早々、感情が爆発しそうに!

 「ファッションですべてを語れましたか」と問われた彼が「ノー」と一言で返事をするシーンは、ファッション界への復活を匂わせているように思えました。私の壮大な勘違いかもしれないけれど、社会人になってやっと手に入れた足袋ブーツを愛でながらゆっくり待とうと思います。

『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』

監督・脚本・撮影:ライナー・ホルツェマー
撮影:トゥーン・イレハム

アップリンク吉祥寺ほか全国公開中
https://www.uplink.co.jp/margiela/

②「ゴールデン・ステート・キラーを追え I'll Be Gone in the Dark」

 カリフォルニア州を震撼させた連続殺人・強盗事件の犯人を、作家が独自の捜査により追い詰めていくドキュメンタリー。

 「自分がテレビ番組『セブンルール』に出演することになったらどうしよう? 自分にはどんなルールがあるかな?」と謎の妄想をするときがあるのですが(皆さんもありますよね?)、その際には必ず「村井理子さんが翻訳した本を買う」というルールをあげるようにしています(脳内で勝手に)。他のルールは「週一回餃子を食べる」とか「三四郎のラジオを聴く」とかしょうもないものばかりです、はい。

 この「ゴールデン・ステート・キラーを追え I'll Be Gone in the Dark」は、村井さんが翻訳している『黄金州の殺人鬼――凶悪犯を追いつめた執念の捜査録』が元になっている、ドキュメンタリー。

 このような殺人鬼がなぜ生まれたのか、犯人はどんな人物なのかといった謎解きの要素はもちろんあるのですが、このドキュメンタリーの目玉は、事件の経緯と真相を執念ともいえるパワーで追い求める作家、ミシェル・マクナマラ。道半ばで急死してしまう彼女の魂にこれでもかとまで迫る、作品になっています。

 興味を持った方はぜひ、このドキュメンタリーと合わせて、書籍の方も読んでみてください。

『ゴールデン・ステート・キラーを追え I'll Be Gone in the Dark』

U-NEXTにて配信中
https://video.unext.jp/

2021.10.14(木)
文=CREA編集部