③お気楽キャラクターがヘイトシンボルに!?
アメリカのアンダーグランド・コミック界で人気のアーティストであるマット・フューリー。
彼が生み出したお気楽なキャラクター・カエルのぺぺが、匿名掲示板「4chan 」で人種差別的なイメージとともに拡散され、なんとトランプ大統領の誕生に一役買ってしまうことに!
愛すべき存在であったはずのカエルのペペが、ヘイトシンボル(まるで差別の権化!)に祭り上げられる流れに、「え、マジ!?」と驚きっぱなしで、「アメリカって何事も規模がでか〜!」みたいな感想しか出てこなかった、お気楽な私。
ただ、観終わった後にふと考えてみると、これは私たちが日々「わかりやすさ」に頼りすぎてしまっているのが原因ではないのかと、自分もこの問題の当事者であることに気付かされました。
この複雑かつ驚くべき現実を、説教臭くならないようにエンターテインメントとして描く監督の手腕、素晴らしいです!
『フィールズ・グッド・マン』
2021年3月12日(金)ユーロスペース、新宿シネマカリテにて公開! ほか全国順次
出演:マット・フューリー、ジョン・マイケル・グリア、リサ・ハナウォルト、スーザン・ブラックモア、アレックス・ジョーンズ、ライアン・ジョーンズ、カエルのぺぺ
監督・脚本:アーサー・ジョーンズ
撮影・脚本:ジョルジオ・アンジェリーニ 編集・脚本:アーロン・ウィッケンデン
原題:Feels Good Man 2020年/アメリカ/94分 配給:東風+ノーム
④食を通してLAでの文化を知る
アメリカ・ロサンゼルスに家族と渡った映画研究者の三浦哲哉さんによる、「食」を通して考えたアメリカ論。「群像」で連載されていたエッセイが1冊の本になりました。
連載時から気になっていたエッセイが単行本化されたので、嬉々としてページをめくったところ、得も言われぬ感情に襲われて胸がいっぱいに……。
というのも、私も元夫の仕事の関係で、息子が3歳、そして娘がまだお腹にいた頃にアメリカに滞在し、現地の食文化に洗礼を受けた経験があるから。
大きなお腹で息子と一緒に飛行機に乗り込み、やっとの思いでロサンゼルス空港に到着した際にセブンイレブンの看板を見つけた安堵感、そしてそこに食べたいものが何も売ってない衝撃、その後に慣れないUberに乗ってなんとなく入った店で食べたサラダとピザの味の残念さ……。これらの思い出(空港の待ち合わせ場所に元夫がいなくてブチギレそうになったことや、元夫が壊れたように何度も「ロサンゼルスのラーメンは高い」と言っていた記憶も含む)が、『LAフード・ダイアリー』を読むことで、まるで昨日のことのように思い出されるのです。
異国の食事を理解しようと奮闘する三浦さんの綴る文章は、私たちの小さな冒険の記憶を鮮やかにしてくれるだけではもちろんなく、LAの食と文化をわかりやすく、魅力的に教えてくれます。コロナで気軽に旅行に行けなくなってしまった今、この本を読んでロサンゼルスに思いを馳せるのもあり!
『LAフード・ダイアリー』
三浦哲哉著 講談社 1,700円+税
⑤先行配信曲を聞いて新譜を楽しみに待つ
シンガーソングライターのカネコアヤノさんが、大好きです。
強さと弱さの両面を持った声、叫ぶように歌う姿、そして少しぶっきらぼうなのにこちらに寄り添ってくれるような歌詞。
布団から出られなくてただごろごろしているだけの朝、取材に向かう電車の中、残業して終電を逃してしまった夜。つまるところいつでもカネコアヤノさんの曲を聞いています。先日配信されていた、ライブも最高で震えました。
4月14日発売の新しいアルバム『よすが』から「閃きは彼方」が先行配信されていて、今はもっぱらこの曲をエンドレスループしています。
「僕らの日々へ僕らが誠実であれよ」という歌詞にもしびれまくり。
今から新アルバムの発表が楽しみです。
「よすが」
4月14日発売
3,000円(税込)
https://kanekoayano.net/
Column
週末何しよう? 過ごし方5選
興味あることは沢山あるけど、「To Do List」じゃ重すぎる、スローなウィークエンドにしてほしい。そんなあなたのために、ゆるーい週末の過ごし方ガイドをCREA編集部が5つピックアップしてみました。
もちろん、今週末は部屋でゆっくり寝て過ごしちゃう、なんてのもOK。だって、週末はまた来週もやってくるんだから。
2021.03.11(木)
文=CREA編集部