「コピーは自分のことをこの家でいちばん偉いと思ってる」
――元々、動物との暮らしに興味はあったんですか?
小さい頃は犬派でした。僕の隣の家の人が飼ってた犬は全部、僕が捕まえてきた野良犬で(笑)。モモ、シロ、テツ……特に、メスのシロはお気に入りでした。車に引っ掛けられて足を引きずってたので、僕と幼なじみの女の子とふたりで抱き抱えて隣の家に運んでいったんですよ。シロは頭がいいから知らない人には吠えるんですけど、僕の家族には絶対吠えなかった。
そういう勝手にセコムみたいなことをしてくれるところも好きで犬派だったんですけど、東京に出て来て起こった小型犬ブームにちょっと辟易してしまったというか。責任を持たなきゃいけない命なのになぁって考えさせられて……。
さっき話した男友達が飼ってる猫を見て、同居人みたいな距離感もいいなと思いましたし、で、猫だったら東京の暮らしでもストレスなく飼えるんじゃないかなと思うようになったんです。
――実際、コピーくんが来てからの生活はどうでしたか?
僕も奥さんも、最初はどう接していいのかわからなくて。テレビで、犬は抱っこされると嬉しそうな顔をしてるけど実はストレスがかかっているみたいなことを言ってたんです。それを観て、猫も触れちゃいけないんだと思ってたので、1年くらいずーーっと、ふたりとも離れたところでケージに入ってるコピーを遠巻きに見てました(笑)。
小さい頃そんな感じだったので、未だに抱かれるのは嫌がります。
あとね、コピーは自分のことをこの家でいちばん偉いと思ってるのか、いつもソファの真ん中に座ってるんです。僕らが真ん中に座っていようものなら、ソファに上がってきてずっと顔を見て鳴いて「どけ」とアピール。「はい、すみませんでしたね」って場所を空けた途端、王様のようにサッと座ります。
特に、奥さんのことはすげぇ下に見てるみたいです。コピーを飼うタイミングで前職を辞めて、ほぼ1年くらい家にいたんですけど、その間に相当喧嘩したらしくて、奥さんが床に座ってると、道のように踏んづけていきます。
トイレのときは、“今からするぞ”って僕を呼びますし。
――“今からするぞ”って呼ばれるんですか? 片付けてほしいわけじゃなくて?
はい。“するぞ”ってニャーニャー鳴くんで、近くまで行って……今、話してて初めて思いましたけど、コピーってだいぶヤバイやつですよね? けど、しょうがないです。僕らがちょっと甘やかしちゃったので。
うちの子ベストショット②
――そんなコピーくんに加えて、ぽこ美ちゃんも迎えようと思ったのはなぜだったんですか?
アビシニアンを飼っていた男友達が、区の譲渡会に毎週通い続けて2匹目として保護猫を迎え入れていたのを観て、いいなと思ったのがきっかけでしたね。
奥さんも働き出してふたりとも家を空けることが多くなったので、コピーも寂しいかなと。
あと、誰もいないと、コピーは全く動かないんです。朝「行ってくるね」って声をかけたときにソファの真ん中に座っていたとしたら、夜9時とか10時に帰ってきても同じところにいるんです。だから、太り出しちゃって。病院の先生にもダイエットしたほうがいいと言われて、おもちゃを買ってみたりもしたんですけど、3日で飽きて遊んでくれなくなる。
そんなとき、コピーを譲ってくれた方からまた生まれたよって連絡があったので、妹なら仲良くしてくれるかなと思ったんです。
2021.02.22(月)
文=高本亜紀
撮影=平松市聖
写真=長谷川忍