若い力とベテランのパワー融合に泣けた前半

●King & Prince「I promise」

 白の王子衣装が似合い過ぎて怖いレベル。年々若い男性の顔の区別がつかなくなってきている私だが、岸優太さんはスッと見つけることができる。これは恋なのか。

●milet「inside you」

 紅白で出会えてハマった歌手。一昨年は米津玄師、昨年はOfficial髭男dism、そして今回は彼女。謎の民族「サイ族」に古く伝わる民謡(私が勝手に妄想した設定です)のようなエキゾチックなムードがツボ。すごく当たるタロット占い師のテーマソングみたいで素晴らしかった!

●櫻坂46「Nobody's fault」

 美しき精鋭部隊という感じで、不思議な儚さと見応えがあった。今回はダンスに参加しないウッチャンに「手抜きじゃないでしょうね」と言う大泉洋に、「ザ・ベストテン」で黒柳徹子に容赦なくツッコむ久米宏フレイバーを感じた。

●水森かおり「瀬戸内 小豆島 ~2020映えSP~」

 ソーシャルディスタンス的に最高の演出、ジャンボ衣装で登場。瀬戸内海をイメージしたブルーのスカートが波打ち美しい。

 衣装は篠原ともえ。あの怪獣みたいにギャハギャハ言ってたシノラーが美しくなって! 親戚の子の成長を見たような熱い気持ちになった。フワちゃんにもそう思う日が来るのだろうか。

●純烈「愛をください ~Don’t you cry~」

 視聴者ボタンを連動させて紙吹雪が降るシステムを導入。我が家では姉がダカダカとボタンを連打。きっと日本中の茶の間で同じ光景が繰り広げられたのだろう、結果、大量の紙吹雪が降り、メンバーの顔や口の中にドカスカ直撃。

 紙吹雪のパイオニア、北島三郎御大の「ちゃんと食べるように」という愛ある一言も含め、今回の敢闘賞。

●坂本冬美「ブッダのように私は死んだ」

 カゲロウの羽根のように繊細で美しい衣装から伸びる冬美さまの腕の筋肉の美しさよ!

 「やっぱり私は男を抱くわ」という歌詞が映えるのなんの。桑田圭祐さんの口上も素晴らしく、演歌と歌謡曲を盛り上げる口上は大切な文化、廃れさせてはならないと強く思った。

●天童よしみ「あんたの花道 ~腹筋太鼓乱れ打ちSP~」

 いつもの紅白らしい華やかさを一番感じさせてくれたステージ。天童よしみの太い歌声と、ヘソから腸が出そうなほどハードな少年忍者の腹筋太鼓がマッチ。

 若者の熱量&可能性とベテランの技量&包容力の融合。これぞ紅白の名コラボ!

●さだまさし「奇跡2021 ~紅白バージョン~」

 今回の紅白の私的にむせび泣きポイント。人生、ツラいときにはさだまさしの歌が横にあった。仕事でミスったときは「道化師のソネット」、男に振られたときは「防人の詩」を三角座りで泣きながら口ずさんだものである。

 そしてコロナ禍の大晦日、響いたオーケストラも美しい「奇跡2021」が沁みないはずはない。ありがとう、ありがとう、まっさん!

●鈴木雅之「夢で逢えたら」

 お母さまが大好きな曲だったという。しかし鈴木雅之の「ダンディズム」の凄まじさよ。紅組司会の二階堂ふみを甘く褒め、ガラガラの客席に向かって恋人にアプローチするかの如くスイートに歌う。投げキッスが全く不自然にならない数少ない日本人アーティスト。

2021.01.22(金)
文=田中 稲