『ラ・ラ・ランド』の監督によるジャズがテーマの最新作
◆『ジ・エディ』
本作の注目ポイントは主としてふたつあります。ひとつ目は、『セッション』や『ラ・ラ・ランド』の監督として知られる、デミアン・チャゼルが製作総指揮と2話分のエピソードの監督を担当しているところ。
だからというべきか、上記2作と同じく本作のテーマもジャズです。
これまでと大きく異なるのは、主人公が黒人で、舞台がパリであるというあたりでしょうか。前情報はこのくらいにして、物語に移りましょう。
かつてはNYでピアニストとして活動しながら、今はパリでジャズクラブ「ジ・エディ」を経営するエリオットが主人公です。
彼は自身がリーダーを務めるバンドのレコード契約を目指していたのですが、ある日、共同経営者のファリードが何者かに殺されてしまったから、さぁ大変。
突如として現れた男に脅迫されるは、警官には殺人への関与が疑われるはと、どんどん追い詰められるエリオットの行く末やいかに? といった物語が、チャゼルらしい抜群のリズム感と巧みな人物造形でもって描かれます。
そして、ふたつ目の注目ポイントは、父と住むべくパリにやってきたエリオットの娘を、1998年生まれのアマンドラ・ステンバーグが演じているところ。
ステンバーグは女優という枠にとどまらず、漫画家やミュージシャンとしての顔も持ち、さらには黒人や女性への差別に声を上げる活動家でもあり、私生活ではSDGs的なライフスタイルをいち早く取り入れている、まさしく新時代のスターなのです。
次世代を背負って立つであろう彼女の演技にも目を凝らしつつ、楽しんでほしい作品です。
◎あらすじ
『ジ・エディ』
パリにあるジャズクラブ「ジ・エディ」。その経営者でありジャズミュージシャンでもあるエリオットが、運営資金を作るために危ない橋を渡っていた共同経営者の死をきっかけに、窮地に陥るサスペンス・ドラマ。
2020.12.28(月)
文=鍵和田啓介